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福者ルドヴィカ・アルベルトーニ
(Beata Ludovica Albertoni) 1671-1674年
大理石 | サン・フランチェスコ・ア・リーパ聖堂(ローマ) |
初期バロック彫刻を代表する巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ晩年期の傑作『福者ルドヴィカ・アルベルトーニ』。没落しつつあった当時のローマで男色の罪で告発された弟ルイージの恩赦を得るために教皇一族のために数多くの作品を手がける中、パルッツォ・アルベルトーニ枢機卿の依頼によって無償でベルニーニが制作した本作は、死の淵で苦しみながらも、父なる神と共になる神聖な融合に歓喜する≪福者ルドヴィカ・アルベルトーニ≫の彫刻である。ルイーザ・アルベルトーニとも呼称される福者ルドヴィカ・アルベルトーニは、現在も聖人としては認定されていないものの、裕福で著名な一族に生まれながらも、その手にする財産を献身的に貧者への施しに用いて、健康を害し、最後は天へ召されたとされる女性で、本作ではベルニーニの神秘性への傾倒と理想化した女性の美を示している。胸に手を置き今まさに神の下へと帰らんとする福者ルドヴィカ・アルベルトーニの表情は、苦しみの中にあるとは思えないほど甘美性を漂わせており、緩やかな曲線による横たわる全身像は極めて劇的でありながら官能性を如実に感じさせる。このような宗教的な神秘体験による歓喜の官能性は、ベルニーニが示した表現の最も特筆すべき点であり、今日も観る者を強く感動させる。
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