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ピエタ (Pieta) 1620-1625年頃
不明 | 油彩・画布 | サンタ・キアラ聖堂 |
ピエトロ・ダ・コルトーナ初期の傑作『ピエタ』。画家が30歳以前の頃に描かれたと推定される本作の主題は、磔刑に処され死したイエスの亡骸を、聖母マリアがその胸に抱く場面≪ピエタ≫を描いたものであるが、本作でイエスの亡骸を抱くのは、天上からの使者であろう二人の天使である。トスカーナ的とも表現できる情緒溢れる背景描写や、深い陰影と鮮やかな色彩によって示される人物の感情は、当時のピエトロ・ダ・コルトーナの様式的傾向を示している。また本作は長らくその存在が忘れられており、画家の故郷であるコルトーナで1983年と極めて最近、それも偶然発見された作品で、ピエトロ・ダ・コルトーナのバロック的な様式形成の過程を研究する上で、非常に重要な位置を占める作品のひとつでもある。
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