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聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐 1616年頃
(Banquet of the Officers of the St.George Militia Company)
175×324cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館 |
17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家フランス・ハルス最初期の集団肖像画作品『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐』。画家が34歳頃(1616年頃)に制作されたとされる本作に描かれるのは、画面中央前景の分隊長ニコラース・ファン・デル・メールを始めとした聖ゲオルギウス市警備隊員の晩餐風景的な集団肖像画で、それまで集団肖像画の典型的な三角形(台形)の構図から逸脱し、左部から右部へと高まる斜形構図が用いられているのが最も大きな特徴である。本作において、この斜形構図は非常に重要な位置を意味を持ち、旗持ちが手にする市警備隊の旗によって強調される画面全体の斜形は、観者と描かれる市警備隊を空間的に結びつける決定的な役割を果たし、公式的な役割からこれまでは安定的で凡庸に表現されることが通例であった集団肖像画に生き生きとした躍動感を与えている。また各人物の表情や衣服、豪華な食器に盛られる晩餐、窓から覗く空気感に溢れた遠景などにみられる丁寧で細やかな描写も画家の優れた画才を示すものであり、特筆すべき点のひとつである。なおフランス・ハルスは1627年頃に再度、同警備隊の晩餐を描いた集団肖像画を制作している。
関連:1627年頃『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐』
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