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リュートを弾く道化師 (Buffoon Playing a Lute) 1623年頃
70×62cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) |
17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した代表的な作例のひとつ『リュートを弾く道化師』。ユトレヒト・カラヴァッジョ派らの画家によってもたらされた風俗画的な人物の単身像作品の本作であるが、そこにカラヴァッジョ派の劇的なキアロスクーロ(明暗法)の使用の影響は感じさせず、対象(本作では道化師)が見せる一瞬のユーモラスな表情の表現に強い関心を示していることがわかる。またリュートのバラ窓(胴体中央に幾何学模様などでくり抜かれた穴部分)などにみられる軽やかで躍動的なフランス・ハルス独特のタッチは、同時代では強烈すぎるほどの個性となって当時の人々に強い印象を残した。なおフランス・ハルスは同時期にリュート奏者を題材とした本作よりひと周りほど大きい別作品を手がけている(個人蔵)。
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