■ |
聖ペトロへのキリストの啓示 1616-1617年頃
(Christ's Charge to Peter)
208×235cm | 油彩・画布 | 聖ヤコブ教会(アントウェルペン) |
ヤーコブ・ヨルダーンス最初期のに描かれた宗教画の代表的な作品『聖ペトロへのキリストの啓示』。しばしばヨルダーンスの師である画家アダム・ファン・ノールトとの帰属論争されてきたが、近年の研究によって現在は大多数の研究者がヨルダーンスの作品であるとの見解を示し、画家の様式形成において、その発展と影響を示す基準的な作品としても最近は重要視される傾向にある本作に描かれるのは、新約聖書ヨハネ福音書へ補巻的に記される主題番号21場面から≪聖ペトロへのキリストの啓示≫で、聖ペトロや聖トマスなど七人の弟子が漁に出るも不漁に終わり、浜へ戻る中、3度目の復活を遂げた主イエスが現れて153匹もの魚を捕らせたほか、パンを与えた食事を取らせた後、聖ペトロへ「わたしを愛するか?」と三度問い、聖ペトロが「はい、わたしがあなたを他の誰よりも愛していることは、あなたが一番わかっているはず」と答えると、聖ペトロへ「わたしの羊を飼え」と世界へ父なる神の栄光の伝達を命じ、聖ペトロの殉教を啓示したとされる、あまり描かれない珍しい主題である。
|