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リストラの聖パウロと聖バルナバ 1616年頃
(St.Paul and St.Barnabas at Lystra)
149×233cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館 |
ヤーコブ・ヨルダーンス最初期のに描かれた宗教画の代表的な作品『リストラの聖パウロと聖バルナバ』。本作に描かれる主題は、新約聖書に属される使徒言行禄14 8-18に記される、ローマ市民で厳格なファリサイ派あったが回心し、熱心なキリスト教徒となった聖パウロと、福音書記者聖マルコの従兄弟でキプロス島出身の聖バルナバがリストラの地で布教活動をおこなっていた時に、足の不自由な男を癒し治したために同地の異教徒から異教の神の名前≪ゼウス(聖バルナバが高貴な容貌だった為)≫、≪ヘルメス(主に聖パウロが話をしていた為)≫と崇められ、異教の神殿の司祭が雄牛数頭と花輪などを神への生贄として聖パウロと聖バルナバに捧げようとするも、それを拒み、同地の異教徒に対し神は唯一であり偶像の崇拝をやめ主イエスのみを信じよと説教する場面≪犠牲を捧げられるのを拒む聖パウロと聖バルナバ≫である。本作において登場人物はほぼ平行線上に配されるなど、古典的で安定的な構図が用いられているも画面中央の水を注す男や説教する聖パウロの躍動感に溢れる運動性や、画面全体に認められる輝くような光による色彩の使用など至る所にヨルダーンスの高い技量が感じられる。なおヨルダーンスは生涯のうちに本主題を複数回手がけており、画家のオリジナルや工房作など幾つかは現存している。
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