Description of a work (作品の解説)
2008/07/12掲載
Work figure (作品図)
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画家アシル・アンプレールの肖像


(Portrait d'Achille Emperaire) 1869-70年頃
200×122cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

近代絵画の父とも呼ばれる後期印象派の巨匠ポール・セザンヌ初期を代表する単身人物像のひとつ『画家アシル・アンプレールの肖像』。本作はセザンヌ同様、南仏の小町エクス=アン=プロヴァンス(通称エクス)出身の画家であり良き友人のひとりでもあった≪アシル・アンプレール≫を描いた肖像作品である。画家が30歳の頃(1869-70年)に制作された本作では、新古典主義最後の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルなど古典主義者たちが皇帝ナポレオンを描いた肖像画に倣うかのように、玉座を思わせる大きな椅子(※この椅子の花柄はセザンヌが初期に手がけた父の肖像画にも登場している)に鎮座するアシル・アンプレールは身体こそ正面を向けているものの、その顔と視線はやや斜め下に向けられており、かつて王族や貴族、皇帝などが描かせた厳格性の高い公式な肖像画とは異なる、人間味に溢れている。アシル・アンプレールはその名が示すよう小柄な体躯であったが、セザンヌは後に「鋼の神経によって燃え上がる魂、そして鋼鉄の誇りが彼の醜く小さな身体の中に、まるで炉の炎のように宿っている」と述べているよう、アシル・アンプレールの内面に確固たる精神を見出しており、本作でも画面左側から照らされる強烈な光による明暗の対比や太く雄々しい輪郭と筆触、疲弊的ながらも力強い意思を宿した瞳の表情、そして画面上部に記される「皇帝」に準えた「アシル・アンプレール、画家」の碑文などにそれらを感じることができる。


【全体図】
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疲弊的ながらも力強い意思を宿した瞳の表情。本作はセザンヌ同様、南仏の小町エクス=アン=プロヴァンス(通称エクス)出身の画家であり良き友人のひとりでもあった≪アシル・アンプレール≫を描いた肖像作品である。



【力強い意思を宿した瞳の表情】
太く雄々しい輪郭と筆触。画家が30歳の頃(1869-70年)に制作された本作でのアシル・アンプレールは身体こそ正面を向けているものの、その顔と視線はやや斜め下に向けられており、かつて王族や貴族、皇帝などが描かせた厳格性の高い公式な肖像画とは異なる、人間味に溢れている。



【太く雄々しい輪郭と筆触】
強烈な光による明暗の対比。本作の正面性や構図的類似性から、新古典主義最後の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルなど古典主義者たちが皇帝ナポレオンを描いた肖像画との関連性が指摘されている。



【強烈な光による明暗の対比】

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