2008/11/25掲載
■
アヌシー湖(Le Lac d'Annecy) 1896年65×81cm | 油彩・画布 | コートールド・コレクション
遠景に描かれるアヌシー湖の古城。本作には画家がそれまでに殆ど取り組まなかったピクチュアレスク的風景を、造形的視点で再構成し、絵画としての新たな自然的調和を構築しようする画家の取り組み(挑戦)が良く示されている。
【遠景に描かれるアヌシー湖の古城】
アヌシー湖に反射するタロワールの風景。画面全体を通して、ほぼ統一的な粘性の感じられる四角い幅広の筆触で描写されており、観る者に一定の造形的(直線的)な秩序(統一性)のある印象を与えている。
【湖に反射するタロワールの風景】 近景として描かれる一本の大きな樹木。画面左側に配される存在感の大きな樹木の枝葉は遠景(の空)と溶け合うかのように渾然一体となっており、もはやそこに(古典的絵画の基本となる遠近法的な)距離感は感じられない。
【近景として描かれる一本の大きな樹木】 |