Description of a work (作品の解説)
2011/10/07掲載
Work figure (作品図)
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林檎とビスケット(リンゴとビスケット)


(Pommes et biscuits) 1879-1882年頃
45×55cm | 油彩・画布 | オランジュリー美術館

後期印象派の最も重要な画家のひとりポール・セザンヌを代表する静物画『林檎とビスケット(リンゴとビスケット)』。画商ポール・ギヨームの蒐集作品の中の1点であり、現在はパリのオランジュリー美術館に所蔵される本作は、画家が幾度も手がけてきた≪りんご(林檎)≫を主画題にビスケットを加えた静物画作品で、本作には、後年(1895年とされる)友人ジェフロワに「リンゴでパリを驚かせたい」と語ったと伝えられるよう、静物画を重要視していたセザンヌの形状の様式的描写と色彩による質感表現という絵画的特徴がよく示されている。画面中央の木製棚の上へ14個の林檎は無造作的に配置されているようで、画面右側に置かれる青太縁の皿とその上のビスケットと見事に呼応しており、極めて単純ながら観る者に心地良さすら感じさせる絶妙な静物構成には画家の天性を感じずにはいられない。また色彩表現においても赤や黄や茶色など豊かな暖色でまとめられる林檎や木製棚、それらと色彩対比的な青皿や緑地の壁、そして(やや奇抜ながら)アクセント的な桃色のビスケットなどにセザンヌの感性の高さと色彩に対する強い執着を見出すことができる。


【全体図】
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絶妙に配置される林檎。セザンヌはかつての友人エミール・ゾラから幼い頃に林檎をもらったことが知られており、そのような経緯からも林檎という画題に対して強い執着を抱いていたとの考察がされている。



【絶妙に配置される林檎】
林檎の色彩と対比的な青皿。リンゴを始めとした果物の画題作品は、少なくとも70年代には30作品以上、80年代には45作品以上、90年代から晩年にかけては40点以上制作されていることが確認されている。



【林檎の色彩と対比的な青皿】
画面を引き締める緑色の壁。セザンヌが述べたと伝えられる「リンゴでパリを驚かせたい」という言葉は、友人エミール・ゾラの小説『制作』の主人公画家クロード・ランティエの台詞「素晴らしく描かれた、たった1本の人参で革命をおこすことができる」を意識したものであると考えられている。



【画面を引き締める緑色の壁】

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