Description of a work (作品の解説)
2008/12/14掲載
Work figure (作品図)
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水浴の男たち

 (Baigneurs) 1890-92年頃
60×82cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の大画家であり近代絵画の始祖的存在でもあるポール・セザンヌが手がけた男性水浴図の代表作『水浴の男たち』。本作はセザンヌ自身が若き頃(幼少期)に親しんでおり、画家にとって身近かつ魅力に溢れた画題であった≪水浴≫を描いた数多くの作品の中の1点である。セザンヌは1870年代にも代表的な男性水浴図作品『水浴者たちの休息』を手がけているが、本作には本画題におけるひとつの到達点が示されている。画面中央には白布を持ちながら直立する裸体の男性が配されており、その左側には大地に腰を下ろす男が描き込まれている。この白布を持つ裸体の男性像はルーヴル美術館の古代彫刻に着想を得ていることが明らかとなっており(デッサンや油彩スケッチが残されている)、本作にある種のモニュメンタル(記念碑)的な感覚を植え付けさせている。それは白布の右側に配される隆々とした筋肉による逆三角形の上半身が特徴的な男性の姿にも感じることができ、画家の古典芸術に対する敬意と関心の高さを窺い知ることができる。また画面の両端に描かれる男性の斜め(内側)に傾けられた姿態と、観る者へ背を向けながら直立する2人の男性、そして画面奥中央の垂直が過剰にすら感じられるほど強調される一本の樹木によって形成される安定的な三角形の構図には画家の高い計算と、画面構造に対する重要度の認識の深さを見出すことができる。さらに中景に描かれた水浴に興じる多くの男性の躍動的な姿や、構成要素の力強い描写、近景・遠景の差異を殆ど感じさせない平面的構成には晩年のセザンヌの絵画様式の特徴が良く示されている。

関連:1875-76年制作 『水浴者たちの休息』


【全体図】
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隆々とした筋肉が特徴的な男性。この白布を持つ裸体の男性像はルーヴル美術館の古代彫刻に着想を得ていることが明らかとなっており(デッサンや油彩スケッチが残されている)、本作にある種のモニュメンタル的な感覚を観る者に植え付けさせている。



【隆々とした筋肉が特徴的な男性】
ルーブル美術館の古代彫刻に着想を得た白布を持つ裸体の男の後姿。前景に描かれる男性集団、そして画面奥中央の垂直が過剰にすら感じられるほど強調される一本の樹木によって形成される安定的な三角形の構図には画家の高い計算と、画面構造に対する重要度の認識の深さを見出すことができる。



【白布を持つ裸体の男の後姿】
力強さを感じさせる独特の筆触。中景に描かれた水浴に興じる多くの男性の躍動的な姿や、構成要素の力強い描写、近景・遠景の差異を殆ど感じさせない平面的構成には晩年のセザンヌの絵画様式の特徴が良く示されている。



【力強さを感じさせる独特の筆触】

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