Description of a work (作品の解説)
2008/06/20掲載
Work figure (作品図)
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アルルカン(道化)

 (Harlequin) 1888-1890年
101×65cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

近代絵画の父ポール・セザンヌを代表する単身人物像のひとつ『アルルカン(道化)』。本作は1888年から1890年にかけて4点ほど制作された、セザンヌの息子ポールをモデルに≪アルルカン(道化師)≫を画題とした作品の中の1点である。画面の中央で斜めに構えたアルルカンは、白い三日月の帽子を被りながら、やや首を傾げ立っているが、その顔立ちは簡素化(抽象化)されており明確な感情を見出すことはできない(無表情の印象が強い)。身に着ける独特の衣装もアルルカン(道化師)らしく、赤色と黒色が規律正しく交互に配された菱形模様(ダイヤモンド模様)が施された奇抜さが際立っている。さらに右手には白色の木の棒(または木剣)が持たされており、身に着ける衣服との色彩的対比は観る者にアルルカン(道化師)の印象を強く植え付けさせる効果を発揮している。本作で最も注目すべき点は、やはりアルルカン(道化師)が身に着ける赤色と黒色の衣服にある。セザンヌはこの頃、本作以外にも3点の同主題の作品を制作しており、それらの作品でも同衣装を身に着けているが、本作の衣服の奇抜性と、まるで人形(マネキン)を思わせるような表情の無いアルルカン(道化師)の人物像と組み合わさることで、現実感の薄れた非常に革新的(現代的)な対象のイメージを生み出している。この真新しい対象への取り組みはセザンヌ以降の近代の画家たちを始め、多くの画家らに多大な影響を与えた。なお白色の木の棒とそれを持つ手を逆にしたほぼ同様の構図による作品『アルルカン(道化)』がケンブリッジのロス・チャイルド・コレクションに所蔵されている。

関連:1889-90年制作 『アルルカン(道化)』


【全体図】
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まるで人形を思わせるアルルカン(道化師)の顔。画面の中央で斜めに構えたアルルカンは、白い三日月の帽子を被りながら、やや首を傾げ立っているが、その顔立ちは簡素化(抽象化)されており明確な感情を見出すことはできない。



【まるで人形を思わせるアルルカンの顔】
赤色と黒色が規律正しく交互に配された菱形模様の衣服。さらに右手には白色の木の棒(または木剣)が持たされており、身に着ける衣服との色彩的対比は観る者にアルルカン(道化師)の印象を強く植え付けさせる効果を発揮している。



【交互に配された菱形模様の衣服】
平面的で多様な色彩が混在した背景処理。本作の衣服の奇抜性と、まるで人形(マネキン)を思わせるような表情の無いアルルカン(道化師)の人物像と組み合わさることで、現実感の薄れた非常に革新的(現代的)な対象のイメージを生み出している。



【平面的で色彩が混在した背景処理】

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