Description of a work (作品の解説)
2009/08/18掲載
Work figure (作品図)
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マンシーの橋

 (The Bridge of Maincy) 1879年頃
60×73cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

偉大なる後期印象派の画家ポール・セザンヌ1870年代後期を代表する風景画作品のひとつ『マンシーの橋』。本作は画家が1879年から1880年まで滞在したパリ南東アルモン川沿いの小町ムランで制作された作品で、アルモン川に架かる≪マンシー橋≫の情景を画題に選定している。画面中央へ水平に配されるマンシーの橋は画面へ安定と秩序をもたらす効果を発揮しており、本作を観る者に対して非常に堅牢で構成的な印象を与えることに成功している。さらにその前(前景)に配される細く長い樹木は、平面的空間の中で観る者の導きとしての役割を果しており、(観る者の)視線を自然と中景のマンシー橋へと向けさせている。さらにこの前景の樹木と構成的呼応を示す、画面右側の同系の樹木群は本作の垂直性(※マンシー橋の平行性と対比する)を生み出している。これらに示される幾多の思考の末に辿り着いたであろう絶妙な画面構成や、古典的風景と近代的風景の見事な表現的融合も特筆すべき点であるが、最も注目すべき点は短く平坦的な筆触による構成要素の構造的描写と、絵画的質感の見事さにある。本作に示されるセザンヌ独特の四角い筆触は、絵画としての感触を存分に表しており、画家の厳格な絵画思想を強く見出すことができる。さらに緑々とした木々の葉の美しい色彩は観る者の目を強く惹き付けるだけでなく、画面内へ自然的で均衡的な調和性をも生み出している。


【全体図】
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画面内へ安定感をもたらずマンシー橋。本作は画家が1879年から1880年まで滞在したパリ南東アルモン川沿いの小町ムランで制作された作品で、アルモン川に架かる≪マンシー橋≫の情景を画題に選定している。



【安定感をもたらずマンシー橋】
水面に映り込む風景。画面中央へ水平に配されるマンシーの橋は画面へ安定と秩序をもたらす効果を発揮しており、本作を観る者に対して非常に堅牢で構成的な印象を与えることに成功している。この古典的風景と近代的風景の見事な表現的融合は本作の大きな見所のひとつである。



【水面に映り込む風景】
秩序的に並べられた画家独特の筆触。本作に示されるセザンヌ独特の四角い筆触は、絵画としての感触を存分に表しており、画家の厳格な絵画思想を強く見出すことができる。さらに緑々とした木々の葉の美しい色彩は観る者の目を強く惹き付けるだけでなく、画面内へ自然的で均衡的な調和性をも生み出している。



【秩序的に並べられた独特の筆触】

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