2009/08/05掲載
■
腕を組んだ農夫(部屋の中の男)(Paysan debout, les bras croisés) 1893-95年頃 80×57.2cm | 油彩・画布 | バーンズ・コレクション 真正面から捉えられる農夫の姿。本作はセザンヌがこの頃、しばしば取り上げていた≪労働者(労働階級者)≫を画題とした作品の中のひとつで、特定のモデルを使用しているかは不明であるものの、無骨で素朴な農夫を単身として正面から捉えているのが大きな特徴である。
【真正面から捉えられる農夫の姿】 胸の前で組まれた腕の堅牢性。ほぼ垂直立ちする農夫の組まれた腕や外側へ開かれる足先の堅牢性や安定性は、この農夫単身としての性格はもとより、労働者としての堂々とした姿をも表現している。
【胸の前で組まれた腕の堅牢性】 垂直が強調される引き伸ばされた脚。セザンヌの他の作品と比較しても際立つ本作の厳格な正面性と造形性は、伝統的な(ルネサンス以前の)宗教画にも通じる深い精神性と普遍性を見出すことができる。
【垂直が強調される引き伸ばされた脚】 |