Description of a work (作品の解説)
2008/05/12掲載
Work figure (作品図)
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オーヴェール=シュル=オワーズの首吊りの家


(La Maison du pendu, à Auvers) 1873年
55×66cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の巨匠ポール・セザンヌ初期の最も重要な作品のひとつ『オーヴェール=シュル=オワーズの首吊りの家』。セザンヌがガジェ医師と共にオーヴェール=シュル=オワーズに滞在した1873年に制作され、翌1874年に開催された第1回印象派展へ出品された本作に描かれるのは、パリ北西の地≪オーヴェール=シュル=オワーズ≫の風景で、画家と親しかった印象派の巨匠カミーユ・ピサロや、フィンセント・ファン・ゴッホも同地で制作活動をおこなっている。画面最前景には村の中心へと続く田舎道が突然画面左から横切るように大胆に配され、その道の先には二軒の家が左右対称的な位置に配されている。画面の中央やや上部分に空いた空間には中景として村の家々が、さらに遠景にはオーヴェールの景観と青々とした空が広がっている。印象的な名称≪首吊りの家≫の由来については現在も不明(ただし画面中央の家屋が首吊りの家と呼ばれていたとする説も唱えられている)である本作の、不安定的で奇抜な画面構成と、画面の大部分を占める二軒の家が示す対照的な秩序との複合的展開や、絶妙に配される木々とその枝ぶりなどは親友でもあり、印象派の画家たちの中で最もセザンヌを認めていたピサロからの影響を感じさせる。またほぼ均一に当てられる陽光の処理や、画面右側の小屋の屋根の柔らかさの中に硬質性も感じさせる独特の描写と質感の表現には印象派の画家らとは異なる、セザンヌの独自性を見出すことができる。なお本作は印象派展終了後、同派の熱心な収集家であったアルマン・ドリア伯爵によって購入され、現在はオルセー美術館に寄贈されている。


【全体図】
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左右対称的な位置に配される近景の家。セザンヌがガジェ医師と共にオーヴェール=シュル=オワーズに滞在した1873年に制作され、翌1874年に開催された第1回印象派展へ出品された本作に描かれるのは、パリ北西の地≪オーヴェール=シュル=オワーズ≫の風景である。



【対称的な位置に配される近景の家】
セザンヌの独自性を感じさせる独特の質感表現。ほぼ均一に当てられる陽光の処理や、画面右側の小屋の屋根の柔らかさの中に硬質性も感じさせる独特の描写と質感の表現には印象派の画家らとは異なる、セザンヌの独自性を見出すことができる。



【独自性を感じさせる独特の質感表現】
中景に見える村の町並みと遠景に広がるオーヴェールの景観。印象的な名称≪首吊りの家≫の由来については現在も不明である本作の、不安定的で奇抜な画面構成と、画面の大部分を占める二軒の家が示す対照的な秩序との複合的展開はピサロからの影響を感じさせる。



【遠景に広がるオーヴェールの景観】

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