Description of a work (作品の解説)
2004/09/09掲載
Work figure (作品図)
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リンゴとオレンジ

 (Pommes et oranges) 1895-1900年
73×92cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

近代絵画の扉を開いた後期印象派最大の巨匠のひとりポール・セザンヌを代表する静物画の傑作『リンゴとオレンジ(林檎とオレンジ)』。本作は画家が1870年代以降、数多く手がけた果物を画題とした静物画の中の一点であり、本作は構図、構成、対象の捉え方など完成度が最も高いものとして知られている。セザンヌは画家に共鳴していた批評家ギュスターヴ・ジェフロワに対して「リンゴでパリを驚かせたい」と語ったと言われており(これはエミール・ゾラによる小説≪制作≫の中で、主人公の画家が「素晴らしく描かれた一本の人参で革命を起こしたい」との台詞への画家の反応とも考えられる)、本作は画家の対象に対する切実で、複雑な想いと表現が顕著に示された作品でもある。対象を写実的(客観的)に描くのではなく、対象から感じられる雰囲気や内面をあらゆる角度から見つめ、時には伝統的な遠近法的表現を無視した独自の手法を用いることで、現実では決して見出すことのできない対象そのものの迫真性や、造形としての美しさが本作には表れている。また現実では物理的法則に従い積まれたリンゴの山は崩れるであろうが、画家が時間をかけ、十分に考え抜かれた本作の堅牢な画面構成と対象の捉え方は、それまでの絵画には無い独自的で革新的な絵画展開であった。さらに重厚ながら明瞭なリンゴの赤色とオレンジの橙色は画面の中で明確な存在感を示すと共に、果物が醸し出す生命力も感じられるほか、果物の下に白布を敷くことによる色彩的対象性によって、それらがより強調されている。手法としても画家の荒々しくも静物の本質に迫るかのような強く大胆な筆触も本作の大きな見所のひとつである。


【全体図】
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多角的な視点によって描かれるリンゴとオレンジ。本作は画家が1870年代以降、数多く手がけた果物を画題とした静物画の中の一点であり、本作は構図、構成、対象の捉え方など完成度が最も高いものとして知られている。



【多角的な視点によって描かれる果物】
画面の中で明確な存在感を示す鮮やかな色彩。重厚ながら明瞭なリンゴの赤色とオレンジの橙色は画面の中で明確な存在感を示すと共に、果物が醸し出す生命力も感じられるほか、果物の下に白布を敷くことによる色彩的対象性によって、それらがより強調されている。



【明確な存在感を示す鮮やかな色彩】
伝統的な遠近法的表現を無視した独自の手法。対象から感じられる雰囲気や内面をあらゆる角度から見つめ、時には伝統的な遠近法的表現を無視した独自の手法を用いることで、現実では決して見出すことのできない対象そのものの迫真性や、造形としての美しさが本作には表れている。



【遠近法を無視した独自の手法】
本質に迫るかのような強く大胆な筆触。画家は批評家ギュスターヴ・ジェフロワに対して「リンゴでパリを驚かせたい」と語ったと言われており、本作は画家の対象に対する切実で、複雑な想いと表現が顕著に示された作品でもある。



【本質に迫るかのような強く大胆な筆触】

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