Description of a work (作品の解説)
2009/05/29掲載
Work figure (作品図)
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サント=ヴィクトワール山


(La montagne Sainte-Victoire) 1900年
78×99cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館

後期印象派最大の巨匠であり、後世の画家たちに多大な影響を与えた偉大なるポール・セザンヌ晩年の典型的な風景画作品のひとつ『サント=ヴィクトワール山』。セザンヌが長い間苦心した末に自身の様式を確立させた1980年代中期以降の作品の中でも、特に画家の絵画様式的特徴や絵画芸術そのものへの取り組み的特長が示される作品のひとつである本作は、セザンヌが最も愛した故郷である南仏の小さな町エクス=アン=プロヴァンスのル・トノレに至る道から眺めたサント=ヴィクトワール山の風景を描いた作品で、画家がこのサント=ヴィクトワール山を画題に幾多の作品を手がけていることはあまりにも有名である。画面中央から上部へと配される堂々とした雄大なサント=ヴィクトワール山は陽光によって多様な輝きを反射しており、その姿は画家の瞳に映ったサント=ヴィクトワール山の巨大性や神秘性がそのまま反映されたかのようである。画面中央から下部へはル・トノレへと続く農道がうねるように描き込まれており、起伏の激しい麓の様子が良く示されている。本作で最も注目すべき点は、セザンヌが生涯をかけて探求してきた堅牢な造形性と、純化的な色彩の調和性にある。ほぼ三角形の造形で構成されるサント=ヴィクトワール山は画面の中に重量感と安定感をもたらし、前景の変化に富んだ山道や木々は自然的な運動性とリズムを画面の中へ与えている。さらにそれらは静と動そのものの対比とも考えることができ、単純な造形と構成だからこそ、それらが観る者へ最も効果的に伝達しているのである。さらに画面手前の黄土色や赤茶色の山道からややくすんだ木々の緑色、山麓の青緑、そして画面上部の蒼いサント=ヴィクトワール山から青空へと続く色彩の変化は、まるで構成物が一体的流れとなり自然の中へと溶け込むかのような感覚すら感じられる。


【全体図】
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陽光を反射するサント=ヴィクトワール山頂。本作はセザンヌが最も愛した故郷である南仏の小さな町エクス=アン=プロヴァンスのル・トノレに至る道から眺めたサント=ヴィクトワール山の風景を描いた作品で、画家がこのサント=ヴィクトワール山を画題に幾多の作品を手がけていることはあまりにも有名である。



【陽光を反射する山頂】
ややくすんだ色彩で表現される木々。ほぼ三角形の造形で構成されるサント=ヴィクトワール山は画面の中に重量感と安定感をもたらし、前景の変化に富んだ山道や木々は自然的な運動性とリズムを画面の中へ与えている。



【ややくすんだ色彩で表現される木々】
枯れた印象を受ける赤茶色の大地。画面手前の黄土色や赤茶色の山道からややくすんだ木々の緑色、山麓の青緑、そして画面上部の蒼いサント=ヴィクトワール山から青空へと続く色彩の変化は、まるで構成物が一体的流れとなり自然の中へと溶け込むかのような感覚すら感じられる。



【枯れた印象を受ける赤茶色の大地】

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