Description of a work (作品の解説)
2009/07/05掲載
Work figure (作品図)
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ウジェーヌ・ボックの肖像


(Portrait d'Eugène Boch) 1888年
60×45cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホを代表する肖像画作品のひとつ『ウジェーヌ・ボックの肖像』。本作はゴッホが南仏アルル滞在時に弟テオを通じて知り合ったベルギー出身の職業画家であり、詩人でもあった≪ウジェーヌ・ボック≫を描いた肖像画作品で、1888年の8月から9月にかけて制作されたことが知られている。ゴッホ自身はウジェーヌ・ボックと本作について次のような言葉を残している。「彼はダンテを思わせるような風貌の持ち主で、オラニエ公ウィレム1世時代のフランドルの紳士貴族を連想させる。彼が親切な男でも誰も驚かないだろう。そして(この作品で)彼は無限の空間の中に輝く蒼白い星の神秘的な光に包まれるのだ。」。画家の言葉からも良く理解できるよう、本作で最も注目すべき点は肖像画としての類稀な象徴性にある。画面中央やや上部にウジェーヌ・ボックの顔面が配され、瞳の方向こそ観る者へと向けられているものの、その視線は別の何かを見ているようである。背景には、まるで夜空の星々を思わせるように深い青色の中へ白色の点が散りばめられており、夢想家としてのウジェーヌ・ボックを強調させている。またウジェーヌ・ボックが身に着ける衣服は当時としては近代的であり、黄色実を帯びた上着や差し色的な赤色と緑色のタイは本作に使用される背景の色彩と見事な対比を示している。これらの効果的な色彩の対比と象徴性は、これまで幾多の画家が手がけてきた肖像画作品には見られない野心的な取り組みであり、ゴッホの絵画的独自性と近代性性格が良く表れている。


【全体図】
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夢想的なウジェーヌ・ボックの視線。本作はゴッホが南仏アルル滞在時に弟テオを通じて知り合ったベルギー出身の職業画家兼詩人でもあった≪ウジェーヌ・ボック≫を描いた肖像画作品で、1888年の8月から9月にかけて制作されたことが知られている。



【夢想的なウジェーヌ・ボックの視線】
当時としては非常に近代的な服装。ウジェーヌ・ボックが身に着ける衣服は当時としては近代的であり、黄色実を帯びた上着や差し色的な赤色と緑色のタイは本作に使用される背景の色彩と見事な対比を示している。



【当時としては非常に近代的な服装】
星空を思わせる背景の処理。背景には、まるで夜空の星々を思わせるように深い青色の中へ白色の点が散りばめられており、夢想家としてのウジェーヌ・ボックを強調させている。これらの効果的な色彩の対比と象徴性は、これまで幾多の画家が手がけてきた肖像画作品には見られない野心的な取り組みである。



【星空を思わせる背景の処理】

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