2009/02/25掲載
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刑務所の中庭(囚人の運動)(The Prison Courtyard) 1890年 80×64cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館(モスクワ) 関連:ギュスターヴ・ドレ作 『ニューゲート監獄−運動場』
僅かに本作を観る者へと視線を向ける最手前の囚人。本作はゴッホが自ら望んで南仏サン・レミのカトリック精神病院サン=ポール・ド・モゾルへ入院していた時期に制作された作品で、画家も高く評価していたフランスの版画家ギュスターヴ・ドレによる『ニューゲート監獄−運動場』に、ほぼ忠実に基づきながら画面が構成されいる。
【観る者へと視線を向ける囚人】
ブルジョワ階級を思わせる看守の姿。画面右下端へ3人の帽子を被った看守たちが描き込まれている本作の中庭で歩行運動をおこなう囚人達の表情には全く生気や希望が感じられず、あたかも出口の無い迷路を彷徨っているかのような絶望的印象すら受ける。
【ブルジョワ階級を思わせる看守の姿】 強い光に照らされる刑務所の高い壁。画家の鬱屈的な精神状態を反映させたかのような刑務所の高い塀へ、(囚人達の様子とは対照的に)眩いほどの明瞭な光が最も強く当てられている点や、画面上部やや左側に配される二匹の白い蝶の存在も、ドレの『ニューゲート監獄−運動場』に準えたゴッホの希望の投影にも思えてくる。
【光に照らされる刑務所の高い壁】 |