Description of a work (作品の解説)
2008/07/15掲載
Work figure (作品図)
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タンギー爺さんの肖像(ジュリアン・タンギーの肖像)


(Le père Tanguy) 1887年
92×75cm | 油彩・画布 | ロダン美術館(パリ)

後期印象派随一の画家フィンセント・ファン・ゴッホ、パリ滞在期の代表的な肖像画作品のひとつ『タンギー爺さんの肖像(ジュリアン・タンギーの肖像)』。1887年の秋に制作された本作はモンマルトルのクローゼル通りで画材店を営んでいたジュリアン・タンギー氏、通称≪タンギー爺さん≫を描いた作品である。タンギー爺さんはパリの若い画家たちを熱心に支持しており、金銭的に苦しい画家に対しては画材代金の代わりに作品を受け取る場合も多かったと伝えられている。ゴッホもタンギー爺さんには多大な恩恵を授かっており、本作では同氏に対するゴッホの深い敬愛の念を感じることができる。さらにタンギー爺さんに見られる太く力強い筆触による描写や厳格な正面性も、この頃の画家の表現様式を考察する上で特筆に値する出来栄えである。また本作の背景を構成する複数の浮世絵も(本作の)最も注目すべき点である。画面左中央に二代目歌川豊国の『三世岩井粂三郎の三浦屋高尾』、左下に二代目歌川広重の『東都名所三十六花選 入谷朝顔』、中央には歌川広重の『富嶽三十六景 相模川』、右上には同じく歌川広重の『東海道五十三次名所図 会石楽師』、右下には渓斉英泉の『雲龍打掛の花魁』が描かれていると推測されており、本作には表現的な影響はあまり感じさせないものの、ゴッホの日本美術への強い傾倒(画家は浮世絵の熱心な収集家であった)や、その後の平面性・奇抜な構図展開などの取り入れを予感させる。なおゴッホは1887年の冬から翌88年初頭にかけてほぼ同様のタンギー爺さんの肖像をもう一枚制作しており、こちらは現在S・ニアルコス氏が所蔵している。

関連:個人所蔵 『タンギー爺さんの肖像』


【全体図】
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重量感を感じさせるタンギー爺さんの正面性。1887年の秋に制作された本作はモンマルトルのクローゼル通りで画材店を営んでいたジュリアン・タンギー氏、通称≪タンギー爺さん≫を描いた作品で、タンギー爺さんはパリの若い画家たちを熱心に支持していたことが知られている。



【重量感を感じさせるタンギー爺さん】
太く力強い筆触による描写。ゴッホもタンギー爺さんには多大な恩恵を授かっており、本作では同氏に対するゴッホの深い敬愛の念を感じることができるほか、タンギー爺さんに見られる太く力強い筆触による描写や厳格な正面性も、この頃の画家の表現様式を考察する上で特筆に値する出来栄えである。



【太く力強い筆触による描写】
背景を構成する複数の浮世絵。本作には表現的な影響はあまり感じさせないものの、ゴッホの日本美術への強い傾倒(画家は浮世絵の熱心な収集家であった)や、その後の平面性・奇抜な構図展開などの取り入れを予感させる。



【背景を構成する複数の浮世絵】

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