Description of a work (作品の解説)
2008/07/19掲載
Work figure (作品図)
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ガラス花瓶の中のカーネーションとクレマティス


(Oeillets et clématite dans un vase de cristal) 1881-83年頃
56×35cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の先駆的存在であった画家エドゥアール・マネが最晩年に手がけた静物画の代表作『ガラス花瓶の中のカーネーションとクレマティス(クレマチス)』。本作に描かれるのは、ガラスの花瓶に入れられたナデシコ科ナデシコ属の多年草で、母の日に贈られる花としても知られる≪カーネーション≫と、キンポウゲ科センニンソウ属の蔓性多年草で、観賞用として最も人気の高い蔓性植物のひとつでもある≪クレマティス(クレマチス)≫である。画面のほぼ中央に配されるやや背の高い台形型のガラス花瓶に、葉のついたままの大きく花開いたクレマティスがガラス口付近に活けられており、さらにその背後にはカーネーションが数本配されている。日本美術の影響を感じさせる飾り気の無い簡素な配置ながら、クレマティスとカーネーションの構成的なバランスや絶妙な配色、そして画面の中に躍動感をもたらしている左右のクレマティスの葉の展開は特に優れた出来栄えである。さらに花が活けられたガラス花瓶の中で、水を通り微妙に変化する光の描写や質感表現は、闊達で力強さを感じさせる筆触の効果も手伝い非常に表情豊かに描かれている。最晩年期(1880年代)のマネは体調を著しく悪化させ大作を手がけることは困難な状況にあり、その為、室内に飾られていた花を描くことが多くなっていた。本作はそのような状況で描かれた典型的な画家の作品であり、≪花≫の画題にはマネの安堵や癒しを求める姿勢を窺い知ることができるが、逆に短命な花と自身の置かれた状況に対する心情を重ねたとも考えられている。


【全体図】
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朱色の花を咲かせるカーネーション。本作に描かれるのは、ガラスの花瓶に入れられたナデシコ科ナデシコ属の多年草で、母の日に贈られる花としても知られる≪カーネーション≫と、キンポウゲ科センニンソウ属の蔓性多年草で、観賞用として最も人気の高い蔓性植物のひとつでもある≪クレマティス≫である。



【朱色の花を咲かせるカーネーション】
観賞用として最も人気の高かったクレマティス。日本美術の影響を感じさせる飾り気の無い簡素な配置ながら、クレマティスとカーネーションの構成的なバランスや絶妙な配色、そして画面の中に躍動感をもたらしている左右のクレマティスの葉の展開は特に優れた出来栄えである。



【観賞用として人気があったクレマティス】
水を通り微妙に変化する光の描写や質感表現。≪花≫の画題にはマネの安堵や癒しを求める姿勢を窺い知ることができるが、逆に短命な花と自身の置かれた状況に対する心情を重ねたとも考えられている。



【水を通り微妙に変化する光の描写】

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