Description of a work (作品の解説)
2009/04/26掲載
Work figure (作品図)
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カピュシーヌ通り

 (La boulevard des Capucines) 1873年
61×80cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館(モスクワ)

19世紀後半のフランスを代表する印象派の巨匠クロード・モネ1870年代の代表作のひとつ『カピュシーヌ通り』。第1回印象派展への出品作としてもよく知られている本作は、オペラ座に面するパリの大通り≪カピュシーヌ通り≫を、写真家でありモネを始めとしたバティニョール派の画家たちと交友していたナダールの仕事場(アトリエ)から眺めた視点で描いた風景画作品である。印象派の画家たちは当時おこなわれていたナポレオン3世によるパリの大改革(都市整備)に近代性を見出し、(カミーユ・ピサロは別として)たびたび画題として取り組んでいたことが知られており、本作もそのような近代的都市風景画のひとつとして位置付けられている。画面の右下から左上にかけて大通りが二分されており、左側は差し込む陽光によって建物や並木が輝きに満ちているが、右側に描かれるカピュシーヌ通りを行き交う人々は建物の影に沈むように暗く描写されている。この行き交う大勢の人々に対して批評家ルイ・ルロワは「無数の黒い涎」と痛烈な言葉を浴びせているが、この黒色とあたかも黄金のように輝く並木や画面奥の建物との色彩的対比は、モネが本作で取り組んだ印象主義的表現の効果が良く表れている。また画面中央最右側へ帽子を被った2人の男性がこの情景を眺める姿が描き込まれており、この客観的傍観者の存在も本作では特に注目すべき点である。なおモネは本作以外にも同時期に同画題でもう1点作品を手がけており、この作品が第1回印象派展への出品作と考察する研究者も多く、更なる今後の研究が期待される。

関連:ネルソン=アトキンズ美術館所蔵 『カピュシーヌ通り』


【全体図】
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パリのカピュシーヌ通りを行き交う人々。この行き交う大勢の人々に対して批評家ルイ・ルロワは「無数の黒い涎」と痛烈な言葉を浴びせているが、この黒色とあたかも黄金のように輝く並木や画面奥の建物との色彩的対比は、モネが本作で取り組んだ印象主義的表現の効果が良く表れている。



【カピュシーヌ通りを行き交う人々】
荒々しく闊達な筆捌きによる描写。第1回印象派展への出品作としてもよく知られている本作は、オペラ座に面するパリの大通り≪カピュシーヌ通り≫を、写真家でありモネを始めとしたバティニョール派の画家たちと交友していたナダールの仕事場(アトリエ)から眺めた視点で描いた風景画作品である。



【荒々しく闊達な筆捌きによる描写】
陽光によって黄金色に輝く建物。印象派の画家たちは当時おこなわれていたナポレオン3世によるパリの大改革(都市整備)に近代性を見出し、(カミーユ・ピサロは別として)たびたび画題として取り組んでいたことが知られており、本作もそのような近代的都市風景画のひとつとして位置付けられている。



【陽光によって黄金色に輝く建物】

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