Description of a work (作品の解説)
2008/11/06掲載
Work figure (作品図)
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アルジャントゥイユの鉄道橋(鉄橋)


(Le Pont du chemin de fer, Argenteuil) 1874年
54.5×73.5cm | 油彩・画布 | フィラデルフィア美術館

印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネの典型的な印象主義的作品のひとつ『アルジャントゥイユの鉄道橋(鉄橋)』。第1回印象派展が開催された1874年に制作されたと推測される本作に描かれるのは、パリの北西に位置するイル=ド=フランス地方の街で行楽地(歓楽地)としても数多くの人が訪れていた≪アルジャントゥイユ≫を流れるセーヌ川にかかる鉄道橋である。画面左側には本場所が余暇を楽しむ行楽地であることを示すかのようにセーヌ川を進む一隻のヨットが真横から描かれ、画面中央には陽光に照らされ白く輝く鉄道橋の円柱が秩序正しく並んでいる。その鉄道橋の線路上では労働の象徴として白煙を上げながら一列車の蒸気機関車が走っており、近代的で人工的な印象を作品へ与えている。この余暇と労働、自然と人工、そして停滞(定着)と変化などの二面性は当時のモネが大変興味と関心を示していた画題であり、本作にはその典型が示されている。また画面右側には前景として急坂となった川沿いの草原が配されているが、この斬新な構図展開も本作の最も注目すべき点のひとつである。本作の表現手法に目を向けてみても、やや大ぶりの筆触によって整列的に描かれるセーヌ川の水面に映り込む鉄道橋の描写や、前景に配される影の落ちた濃緑色の葉の表現などはモネによる印象主義的表現の特徴が良く表れており、今なお観る者を魅了する。なおモネは本作以外にもオルセー美術館が所蔵する『アルジャントゥイユの鉄道橋』など同主題、同構図の作品を複数枚手がけていることが知られている。

関連:オルセー美術館所蔵 『アルジャントゥイユの鉄道橋』


【全体図】
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やや大ぶりの筆触によって整列的に描かれる水面。本作に描かれるのは、パリの北西に位置するイル=ド=フランス地方の街で行楽地(歓楽地)としても数多くの人が訪れていた≪アルジャントゥイユ≫を流れるセーヌ川にかかる鉄道橋である。



【やや大ぶりの筆触で描かれる水面】
鉄道橋を走る一列車の蒸気機関車。本作に描かれる描く対象の余暇と労働、自然と人工、そして停滞(定着)と変化などの二面性は当時のモネが大変興味と関心を示していた画題であり、本作にはその典型が示されている。



【鉄道橋を走る一列車の蒸気機関車】
画面前景に描かれる茂った葉。本作の表現手法に目を向けてみても、セーヌ川の水面に映り込む鉄道橋の描写や、前景に配される影の落ちた濃緑色の葉の表現などはモネによる印象主義的表現の特徴が良く表れており、今なお観る者を魅了する。



【画面前景に描かれる茂った葉】

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