Description of a work (作品の解説)
2008/05/06掲載
Work figure (作品図)
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睡蓮

(Nymphéas) 1914-1917年
200×200cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

クロード・モネ作『睡蓮』。本作は画家が1890年代末(19世紀末)頃から最晩年となる1926年まで取り組み続けてきた、あまりにも有名な作品群≪睡蓮≫の中の1点である。モネは1911年に2番目の妻アリス・オシュデを、次いで1914年には長男ジャンを亡くし、悲観に暮れる中、自らも白内障を患ったことも手伝って1910年代初頭から1914年頃まで一時的に作品制作の意欲が著しく衰えてしまい、殆ど制作活動をおこなわなかったが、本作はその時期を乗り越え(白内障は手術によって回復)、再び筆をとった頃に制作された作品で、最も特徴的なのは画面の左上から右下にかけて覆われる緑色の使用にある。この対角線上の緑色と対称的に、画面左下と右上に睡蓮の群生が配されているが、一見すると大雑把で、遠近感も無視(左下の睡蓮よりも右上の睡蓮を大きく描いている)して描写されているものの、白色、黄色、緑色、青色、赤色、桃色と複雑な色彩によって繊細に表現されており、何とも詩情性に溢れている。そして陽光の光を反射しながら、このジヴェルニーの庭の池に落ちる深い陰影が絶妙に混在する大胆な対角線上の緑色の画面展開や、画面上部の青色との色彩対比は、モネによって数多く制作された≪睡蓮≫の作品群(例:東京国立美術館所蔵 『睡蓮』)の中でも、傑出した幻想性を醸し出している。画家は制作活動を再開した1914年以降、一世一代の連作的大装飾画『睡蓮』を本格的に取り組んでいくが、本作は画面寸法や色彩、描写手法など、その先駆的特徴や表現が示されている。


【全体図】
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複雑な色彩によって繊細に表現される睡蓮。モネは1910年代初頭から1914年頃まで一時的に作品制作の意欲が著しく衰えてしまい、殆ど制作活動をおこなわなかったが、本作はその時期を乗り越え(白内障は手術によって回復)、再び筆をとった頃に制作された作品である。



【複雑な色彩で繊細に表現される睡蓮】

ジヴェルニーの庭の池に咲く睡蓮の花。一見すると睡蓮は大雑把で、遠近感も無視(左下の睡蓮よりも右上の睡蓮を大きく描いている)して描写されているものの、白色、黄色、緑色、青色、赤色、桃色と複雑な色彩によって繊細に表現されており、何とも詩情性に溢れている。



【ジヴェルニーの庭の池に咲く睡蓮の花】

印象的に使用される本作の緑色。陽光の光を反射しながら、このジヴェルニーの庭の池に落ちる深い陰影が絶妙に混在する大胆な対角線上の緑色の画面展開や、画面上部の青色との色彩対比は、モネによって数多く制作された≪睡蓮≫の作品群の中でも、傑出した幻想性を醸し出している。



【印象的に使用される本作の緑色】

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