2008/05/06掲載
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睡蓮(Nymphéas) 1914-1917年200×200cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ) 複雑な色彩によって繊細に表現される睡蓮。モネは1910年代初頭から1914年頃まで一時的に作品制作の意欲が著しく衰えてしまい、殆ど制作活動をおこなわなかったが、本作はその時期を乗り越え(白内障は手術によって回復)、再び筆をとった頃に制作された作品である。
【複雑な色彩で繊細に表現される睡蓮】 ジヴェルニーの庭の池に咲く睡蓮の花。一見すると睡蓮は大雑把で、遠近感も無視(左下の睡蓮よりも右上の睡蓮を大きく描いている)して描写されているものの、白色、黄色、緑色、青色、赤色、桃色と複雑な色彩によって繊細に表現されており、何とも詩情性に溢れている。
【ジヴェルニーの庭の池に咲く睡蓮の花】
印象的に使用される本作の緑色。陽光の光を反射しながら、このジヴェルニーの庭の池に落ちる深い陰影が絶妙に混在する大胆な対角線上の緑色の画面展開や、画面上部の青色との色彩対比は、モネによって数多く制作された≪睡蓮≫の作品群の中でも、傑出した幻想性を醸し出している。
【印象的に使用される本作の緑色】 |