Description of a work (作品の解説)
2007/03/13掲載
Work figure (作品図)
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散歩、日傘をさす女性


(La promenade, La femme à l'ombrelle) 1875年
100×81cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象派の巨匠クロード・モネの最も世に知られる代表作のひとつ『散歩、日傘をさす女性』。1876年に開催された第二回印象派展に出典されたこの類稀な傑作に描かれるのは、クロード・モネが1860年代から70年代にかけてしばしば取り組んだ、戸外での人物像をモティーフとした作品で、画家が当時滞在していたパリ北西ヴァル=ドワーズ県の街アルジャントゥイユの草原に立ち日傘をさす女性は、当時の妻であるカミーユ・ドンシュー(カミーユは1879年に死去し、モネはその後1892年に再婚する)を、傍らに添う幼児は長男ジャン(当時5歳)をモデルに制作されている。観る者がこの二人(妻カミーユと息子ジャン)を見上げるような視点で描かれる本作で最も印象的なのは、逆光と風の中のカミーユのおぼろげな表情にある。日傘を手に観る者と視線を交わすカミーユの顔は、自然風の中でなびくヴェールによって遮蔽されている。この面紗(ヴェールの意)の自然的な運動による瞬間的な印象性を描き出すことによって、草原に立つ女性を観る者は面影として捉えるため、強く心象に残り、かつ神秘的にすら感じるのである。また画面の大部分を構成する青色、白色、緑色、黄色などの色彩は、自然と触れ合うことによって感じる爽やかで心地よい感覚を観る者に与えるのである。なお本作は人物の描写に重点を置いているが、画家が約10年後の1886年に制作した(本作と極めて類似する構図の)対画『戸外の人物習作(右向き)』、『戸外の人物習作(左向き)』では、人物と風景が渾然一体となって表現されている。

関連:クロード・モネ作 『戸外の人物習作(右向き)』
関連:クロード・モネ作 『戸外の人物習作(左向き)』


【全体図】
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ヴェールによって遮蔽されるおぼろげな妻カミーユの表情。日傘を手に観る者と視線を交わすカミーユの顔は、自然風の中でなびくヴェールによって遮蔽されている。この面紗(ヴェールの意)の自然的な運動による瞬間的な印象性を描き出すことによって、草原に立つ女性を観る者は面影として捉えるため、強く心象に残り、かつ神秘的にすら感じるのである。



【おぼろげな妻カミーユの表情】

日傘をさす女性に寄り添う幼児は妻カミーユとの間に生まれた長男ジャンをモデルに描かれた。第二回印象派展に出典された本作は、画家が当時滞在していたアルジャントゥイユの草原に立ち日傘をさす女性と幼児を描いたもので、妻カミーユ・ドンシューと長男ジャン(当時5歳)をモデルに制作されている。



【日傘をさす女性に寄り添う幼児】

爽やかで心地よい感覚を観る者に与える色彩。画面の大部分を構成する青色、白色、緑色、黄色などの色彩は、自然と触れ合うことによって感じる爽やかで心地よい感覚を観る者に与えるのである。



【心地よい感覚を観る者に与える色彩】

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