Description of a work (作品の解説)
2007/07/05掲載
Work figure (作品図)
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ルーアン大聖堂、扉口とアルバーヌの鐘塔、充満する陽光

(Cathédrale de Rouen, le portail et la tour d'Albane, plein soleil)
1893年 | 107×73cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の巨匠クロード・モネが手がけた連作群の代表的作例のひとつ『ルーアン大聖堂、扉口とアルバーヌの鐘塔、充満する陽光』。1895年に画商デュラン=リュエルの画廊で開催された、モネが≪ルーアン大聖堂≫を描いた全33作品の連作群の中から選定された20作品で構成される展覧会に出品された作品の中のひとつである本作は、聖堂という自然的造形要素の無い人工(建築物)物を画題とした珍しい作品であるが、この≪ルーアン大聖堂≫の作品群は、画家が対象(聖堂)に当たる陽光と、それが作り出す陰影の時間経過による変化と効果にのみ集中して取り組む為に、戸外(聖堂前)にカンバス(画布)を複数枚並べ、太陽の動きと共に画家自身が移動しながら制作されたことが知られている。≪ルーアン大聖堂≫の連作は西正面、裏手の庭と二つの角度(観点)から制作された作品に二分され、本作は西正面からのアングルで描かれた作品の中の1点である。本作において最も優れており、注目すべき点は、ノルマンディー地方の代表的なゴシック様式の建造物であるルーアン大聖堂の堅牢な石質を除外した光の描き方や光の陰影の効果の描写にある。一説には本作品群を見た後期印象派の巨匠ポール・セザンヌから「モネは何という眼を持っているのか、しかしただの眼である(賞賛の言葉として前句と後句を逆に紹介されることもある)」と、質感が失われるこの描写法、表現法を批判されたと伝えられているも、本作の眩いばかりに石面へ反射する陽光の表現や、それが織り成す多様な陰影の描写は、現在も観る者の眼を奪うばかりである。なおモネは1892年の晩冬から早春(2月中旬から4月中旬)、1893年の晩冬から早春(2月中旬から4月中旬)と2回の滞在で、ルーアン大聖堂を画題とした作品を集中的に取り組み、自身のアトリエで仕上げている。

関連:連作『ルーアン大聖堂』作品例(一部)


【全体図】
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聖堂という自然的造形要素の無い人工(建築物)物。本作は画商デュラン=リュエルの画廊で1895年に開催された、モネがルーアン大聖堂を描いた全33作品の連作群の中から選定された20作品で構成される展覧会に出品された作品の中のひとつ。



【自然的造形要素の無い人工建造物】

堅牢な石質を除外した光の描き方。本作の眩いばかりに石面へ反射する陽光の表現や、それが織り成す多様な陰影の描写は、現在も観る者の眼を奪うばかりである。



【堅牢な石質を除外した光の描き方】

陽光がが作り出す多様な陰影。本作品群は画家が対象(聖堂)に当たる陽光と、それが作り出す陰影の時間経過による変化と効果にのみ集中して取り組む為に、戸外(聖堂前)にカンバス(画布)を複数枚並べ、太陽の動きと共に画家自身が移動しながら制作されたことが知られている。



【陽光がが作り出す多様な陰影】

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