Description of a work (作品の解説)
2009/05/08掲載
Work figure (作品図)
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ヴェトゥイユの画家の庭園

 1880年(1881年)
(The Artist's Garden at Vetheuil) 151.5×121cm
油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象派最大の巨匠クロード・モネの美しい庭園風景作品『ヴェトゥイユの画家の庭園』。年記には80とあるものの、実際には1881年に制作されたと考えられている本作は、モネが一時期住んでいたセーヌ川下流の小村ヴェトゥイユの邸宅の庭を描いた作品である(モネの最初の妻カミーユ・ドンシューはこの邸宅で死去した)。このヴェトゥイユの家には画家の再婚相手となるアリス・オシュデらオシュデ一家も共に住んでおり、本作にもオシュデ家の子供が描き込まれている。画面のほぼ中央へ縦に配される邸宅への坂道の手前には当時4歳のオシュデ家のジャン=ピエールが、中景にはモネの次男ミシェル(当時3歳)とアリス・オシュデが配されている。坂道の両脇には大輪の花を咲かせる向日葵が色鮮やかに描かれており、清涼とした青空との色彩的対比は観る者に心地良い夏の印象を与える。本作で最も注目すべき点は穏やかで幸福的な光景とは全く正反対な画家の暗く複雑な状況と本作の光景そのものにある。本作を手がける前々年(1879年)にモネは妻カミーユ・ドンシューを同邸宅で亡くしており、経済的困窮も改善されない状況にあった。画家としても成人としても苦しい状況にあったモネが本作のような、まるで輝かしい未来と希望に満ち溢れた情景を、軽快で闊達な筆触によって、こうも見事に描き出せたことは、画家の内面的心情と画家的な性格を考察する上でも非常に興味深い。また画面上部へ向かうほど開放的になる空間構成や光に溢れた色彩表現も特筆に値する出来栄えを示している。


【全体図】
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画面手前に配されるジャン=ピエール少年。年記には80とあるものの、実際には1881年に制作されたと考えられている本作は、モネが一時期住んでいたセーヌ川下流の小村ヴェトゥイユの邸宅の庭を描いた作品である(モネの最初の妻カミーユ・ドンシューはこの邸宅で死去した)。



【画面手前に配されるジャン=ピエール】
モネの次男ミシェル(当時3歳)とアリス・オシュデの姿。画家としても成人としても苦しい状況にあったモネが本作のような、まるで輝かしい未来と希望に満ち溢れた情景を、軽快で闊達な筆触によって、こうも見事に描き出せたことは、画家の内面的心情と画家的な性格を考察する上でも非常に興味深い。



【ミシェルとアリス・オシュデの姿】
清涼とした青空と邸宅の屋根。坂道の両脇には大輪の花を咲かせる向日葵が色鮮やかに描かれており、清涼とした青空との色彩的対比は観る者に心地良い夏の印象を与えるほか、画面上部へ向かうほど開放的になる空間構成や光に溢れた色彩表現は見事の一言である。



【清涼とした青空と邸宅の屋根】

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