2009/05/08掲載
■
ヴェトゥイユの画家の庭園1880年(1881年)(The Artist's Garden at Vetheuil) 151.5×121cm 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー
画面手前に配されるジャン=ピエール少年。年記には80とあるものの、実際には1881年に制作されたと考えられている本作は、モネが一時期住んでいたセーヌ川下流の小村ヴェトゥイユの邸宅の庭を描いた作品である(モネの最初の妻カミーユ・ドンシューはこの邸宅で死去した)。
【画面手前に配されるジャン=ピエール】
モネの次男ミシェル(当時3歳)とアリス・オシュデの姿。画家としても成人としても苦しい状況にあったモネが本作のような、まるで輝かしい未来と希望に満ち溢れた情景を、軽快で闊達な筆触によって、こうも見事に描き出せたことは、画家の内面的心情と画家的な性格を考察する上でも非常に興味深い。
【ミシェルとアリス・オシュデの姿】 清涼とした青空と邸宅の屋根。坂道の両脇には大輪の花を咲かせる向日葵が色鮮やかに描かれており、清涼とした青空との色彩的対比は観る者に心地良い夏の印象を与えるほか、画面上部へ向かうほど開放的になる空間構成や光に溢れた色彩表現は見事の一言である。
【清涼とした青空と邸宅の屋根】 |