2008/05/11掲載
■
白い水差しのある静物画(Nature Morte au Pichet Blanc) 1879-1880年頃 49×63cm | 油彩・板 | オルセー美術館(パリ)
荒々しく絵の具の質感を如実に感じさせる独自の表現手法。本作は生涯の中で幾多も手がけた静物を画題とした作品で、特に画家の晩年期(1870年代後半)に手がけられた静物画作品は画家の様式的特徴や手法が良く表れており、本作はその代表格的な作例のひとつとして広く知られている。
【荒々しい画家独自の表現手法】
色面で構成される画面最手前のオレンジ。本作に描かれる静物は、何れもモンティセリ独特の絵の具の質感を如実に感じさせる大胆で荒々しい筆触によって描写されており、静物の圧倒的な存在感や対象そのものの力動感は、まるで彫刻を思わせる。
【色面で構成される画面手前のオレンジ】
大胆な筆触によって表現される光の反射。テーブルクロスが画面の下半分という静物とほぼ同様の面積を用いて描かれている点などは、モンティセリの興味が静物のみならず、テーブルクロスへも強く向けられていたことを示している。
【大胆な筆触で表現される光の反射】 |