Description of a work (作品の解説)
2008/04/21掲載
Work figure (作品図)
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ファウスト:第一幕

 (Scène de Faust) 1878-1882年頃
43×58cm | 油彩・板 | 個人所蔵

19世紀フランスで活動をおこなった中でも最も重要な画家のひとりアドルフ・モンティセリの代表作『ファウスト:第一幕』。本作に描かれるのは、17-18世紀最大の劇作家ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの最も著名な戯曲≪ファウスト≫中、第1幕の舞台、ライプツィヒのアウエルバハの酒場で誘惑の悪魔メフィストが酒神バッコス(ギリシャ神話のディオニュソスと同一視される)の唄を歌う場面である。同時代で最も活躍したフランスの作曲家のひとりシャルル・フランソワ・グノーが戯曲≪ファウスト≫の第1幕を題材にオペラを作曲し(初演1863年)、観衆から高い支持を得ていて、それと合わせる様に同戯曲を描いた絵画作品の注文も多くなっていたという背景も手伝い、モンティセリは≪ファウスト≫を画題とした作品を数多く制作している(なおオペラ好きでもあったモンティセリは1869年にパリで同オペラを鑑賞している)。画面中央で真紅の衣装に身を包む悪魔メフィストは、黄金の杯を右手で掲げ声高らかに酒神バッコスの唄を歌っている。その隣では悪魔メフィストの赤色と色彩的な対比をする緑色の衣服を着た主人公の老学者ファウストが驚きの表情を浮かべ、左手で悪魔メフィスの左腕を掴んでいる。これはファウストと魂の契約を目論む悪魔メフィストが、若返りを望む老学者ファウストの朽ち果てた若い恋心を呼び起こすためにファウストに見せた(悪魔メフィスの左側に描かれる)若く美しい娘マルグリートの姿(幻影)に一目惚れした為である。本作の赤色(悪魔メフィスト)、緑色(老学者ファウスト)、黄色(娘マルグリート)、青色(空などの背景)と明確に色分けされた鮮やかな原色の強烈で新鮮な色彩の美しさは、画家の全作品の中でも特に優れたものとして広く認知されてる。また本作の一見すると粗雑な印象すら受ける荒々しく力強い筆触は、モンティセリの絵画表現の大きな特徴であり、この独特な厚塗りによる表現手法はポール・セザンヌフィンセント・ファン・ゴッホに多大な影響を与えた。


【全体図】
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真紅の衣装に身を包む悪魔メフィスト。本作に描かれるのは、17-18世紀最大のヨ劇作家ハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの最も著名な戯曲≪ファウスト≫中、第1幕の舞台、ライプツィヒのアウエルバハの酒場で誘惑の悪魔メフィストが酒神バッコスの唄を歌う場面である。



【真紅の衣装に身を包む悪魔メフィスト】
左手で悪魔メフィストの腕を掴む老学者ファウスト。当時、グノーが作曲したオペラ≪ファウスト≫の人気が高くなり、それと合わせる様に同戯曲を描いた絵画作品の注文も多くなっていたという背景も手伝い、モンティセリは≪ファウスト≫を画題とした作品を数多く制作している。



【メフィストの腕を掴む老学者ファウスト】
若く美しい娘マルグリートの姿(幻影)。ファウストと魂の契約を目論む悪魔メフィストが、若返りを望む老学者ファウストの朽ち果てた若い恋心を呼び起こすためにファウストに若く美しい娘マルグリートの姿(幻影)を見せ、ファウストは一目惚れしてしまう。



【若く美しい娘マルグリートの姿】
鮮烈な原色による色彩表現。本作の赤色(悪魔メフィスト)、緑色(老学者ファウスト)、黄色(娘マルグリート)、青色(空などの背景)と明確に色分けされた鮮やかな原色の強烈で新鮮な色彩の美しさは、画家の全作品の中でも特に優れたものとして広く認知されてる。



【鮮烈な原色による色彩表現】

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