2007/08/22掲載
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エラニーの冬 朝、日光の効果1895年(Matin, effet de soleil, hiver à Eragny) 82.3×61.5cm | 油彩・画布 | ボストン美術館
朝陽の光によって薄桃色に輝く木の枝。本作に描かれるのは、画家が晩年に移り住んだパリ郊外エラニー・シュル・エプトの牧場の冬の朝の風景で、このエラニー・シュル・エプトの風景は1890年代のピサロにとって最も主要な画題のひとつでもある。
【朝陽の光によって薄桃色に輝く木の枝】
≪点描表現≫を経て回帰した印象主義的技法の昇華。本作で寒々しい冬景色の中で輝くように朝陽の光を反射する雪の大胆ながら繊細な描写、薄桃色に色付く木々の枝や青色と黄色の折り重なる陰影の表現は特に秀逸の出来栄えを示している。
【点描を経て回帰した印象主義的技法】
青色と黄色の折り重なる陰影。カミーユ・ピサロらしい単純で明確な構図の中に描き込まれた、この冬の朝の瞬間的な美の世界は、観る者に対して冬季独特の寒乾質な空気感や、その中で微かに感じる朝陽の温もりをも感じさせる。
【青色と黄色の折り重なる陰影】 |