Description of a work (作品の解説)
2007/05/08掲載
Work figure (作品図)
■ 

井戸端の若い女と子供

 (Femme et enfant au puits)
1882年 | 81×65cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

印象派の巨匠カミーユ・ピサロ1880年代を代表する作品のひとつ『井戸端の若い女と子供』。本作はカミーユ・ピサロ家の家政婦と画家の四番目の息子リュドヴィク=ドロをモデルに描かれた作品で、おそらくオスニーへと住居を移した1882年の後半に描かれたと推測されている。画面中央の空間(小道)を挟み、左部分へ煉瓦(レンガ)の井戸とそこにもたれ掛かるピサロ家の家政婦の姿を、右部分に指を咥えるリュドヴィク=ドロの姿を配している。双方とも青衣を身に着けており、本作の明瞭で豊潤な色彩の中で青衣へ射し込む光と影が鮮やかに映えている。さらに画面の大部分を覆う緑色と黄色が織り成す美しい色彩の洪水は、観る者に対して爽やかで陽光のぬくもりを感じさせる気候、季節などの自然的要因やその印象を強く感じさせるほか、それらの色と補色関係にある赤味や橙色を帯びた煉瓦や小道の土、家政婦の被る頭巾、リュドヴィク=ドロの頭髪、遠景の家々の屋根や農婦のスカートは、本作において観る者の眼を惹きつける極めて重要なアクセントとして効果的な働きをしている。また自由闊達に動く非常に濃厚で力強い筆触は、それら奔放な色彩によって表現された各対象を画面の中で見事に融合させており、本作で画家が示した統一性と自然性に溢れた類稀な表現や構成から、やがて点描表現へと移行してゆくピサロの1880年代の転換期(探求期)の作品の中でも重要視されてるのである。


【全体図】
拡大表示
煉瓦の井戸にもたれ掛かるピサロ家の家政婦。本作はカミーユ・ピサロ家の家政婦と画家の四番目の息子リュドヴィク=ドロをモデルに描かれた作品で、おそらく、オスニーへと住居を移した1882年の後半に描かれたと推測されている。



【井戸にもたれ掛かるピサロ家の家政婦】
指を咥えるリュドヴィク=ドロの姿。自由闊達に動く非常に濃厚で力強い筆触は、奔放な色彩によって表現された各対象を画面の中で見事に融合させており、本作で画家が示した統一性と自然性に溢れた類稀な表現や構成は見事の一言である。



【指を咥えるリュドヴィク=ドロの姿】
緑色と黄色が織り成す美しい色彩の洪水。これらは観る者に対して爽やかで陽光のぬくもりを感じさせる気候、季節などの自然的要因やその印象を強く感じさせるほか、それらの色と補色関係にある赤味や橙色を帯びた色彩は、観る者の眼を惹きつける極めて重要なアクセントとして効果的な働きをしている。



【緑色と黄色が織り成す美しい色彩】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ