2008/01/07掲載
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大豹に襲われる黒人(Un nègre attaqué un léopard) 1910年頃 114×162cm | 油彩・画布 | バーゼル市立美術館 関連:『異国風景−猿とインディアン(猿とネイティブアメリカン)』
大豹に襲われる黒人の男性。本作では『異国風景−猿とインディアン(猿とネイティブアメリカン)』とは異なり、襲われる人間(黒人)の苦痛的、恐怖的な表情などは一切描写されず、逃れるような姿態とシルエット的な人体描写によって表現されており、観る者により一方的で重圧的な捕食的態度を感じさせる。
【大豹に襲われる黒人の男性】
野性味に溢れた原色的な花々。本作は画家が数多く手がけてきた密林に沈む夕日の風景の中に描く対象を配した作品で、本作には黒人男性が人間の背丈ほどはある大きな豹に襲われるというショッキングな対象を置いているのが大きな特徴である。
【野性味に溢れた原色的な花々】
原始的で葉肉の厚い草木の表現。本作の野性味に溢れた原色的な花々や、原始的で葉肉の厚い、色鮮やかな草木の表現は、ルソーの典型的な密林描写であり、観る者に不可思議で夢想的な印象・心象と、非現実感を植えつける。
【原始的で葉肉の厚い草木の表現】
煌々と輝きながら暮れてゆく太陽。本作の襲われる人間(黒人)と大豹の姿態は、子供向けに出版された≪野獣たち≫という写真アルバムの中にあった、飼育員と豹が戯れる写真の姿態から取られたものであるが、本作では豹の方を向き戯れる飼育員を、顔を背けた姿に変えて描かれている。
【煌々と輝きながら暮れてゆく太陽】 |