Description of a work (作品の解説)
2007/05/30掲載
Work figure (作品図)
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ルーヴシエンヌの庭 ― 雪の効果

 1874年
(Jardin à Louveciennes - Effet de neige)
55.9×45.7cm | 油彩・画布 | フィリップス・コレクション

印象派の画家アルフレッド・シスレーのルーヴシエンヌ時代の代表的な作品のひとつ『ルーヴシエンヌの庭 ― 雪の効果』。本作に描かれるのは、1871年の普仏戦争の敗北によって、それを認めない民衆がパリで蜂起し誕生した革命政府パリ・コミューン(労働階級による民主的国家)を避けるためにシスレーが同年から1874年まで移住した地≪ルーヴシエンヌ≫の冬景色で、画家が好み数多く手がけた画題であった冬の情景や景色を描いた作品の中でも、本作は特に代表的な作例とされている。近年の研究によって本作に描かれる道がシスレーが住んでいた近所のシュマン・ド・レタルシェの小道であることが判明しているこの風景では、前景では左側の木柵と右側の高い白壁によって奥行きと遠近感が強調されているが、中景から遠景では白壁や屋根によって水平が強調され、平面的に構成されている。また画面内に複数本描き込まれる木々は中〜遠景の水平とは対照的に垂直に描かれ、高さを効果的に強調している。描写手法においても大振りで筆感に富んだ能動的な筆触によって降り続く雪や屋根に降り積もる雪の柔らかい質感を見事に表現しているほか、寒冷な雪の白色や遠景の青みがかった大気の色彩と対するかのような木々や正面の家屋の茶褐色、黄色味を帯びた壁などの暖色は調和的補完性の関係にあり、互いを引き立て合っている。また画面中央に配される傘を差す婦人は、厳しく寒々しい冬景色において人間的な温もりを作品に与えている。なお画家は冬の季節以外にも、1873年に本作とほぼ同構図・同内容の作品『ルーヴシエンヌの庭』を制作している。

関連:アルフレッド・シスレー作 『ルーヴシエンヌの庭』


【全体図】
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シュマン・ド・レタルシェの小道を歩く婦人。本作に描かれるのは、1871年の普仏戦争の敗北によって、それを認めない民衆がパリで蜂起し誕生した革命政府パリ・コミューン(労働階級による民主的国家)を避けるためにシスレーが同年から1874年まで移住した地≪ルーヴシエンヌ≫の冬景色である。



【シュマン・ド・レタルシェを歩む婦人】
やや大振りで筆感に富んだ能動的な筆触。画家が好み数多く手がけた画題であった冬の情景や景色を描いた作品の中でも、特に代表的な作例とされている本作に描かれる道は、近年の研究によってシスレーが住んでいた近所のシュマン・ド・レタルシェの小道であることが判明している。



【大振りで筆感に富んだ能動的な筆触】
木々や正面の家屋に用いられる茶褐色。寒冷な雪の白色や遠景の青みがかった大気の色彩と対するかのような木々や正面の家屋の茶褐色、黄色味を帯びた壁などの暖色は調和的補完性の関係にあり、互いを引き立て合っている。



【木々や正面の家屋に用いられる茶褐色】

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