2007/04/06掲載
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灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像(Arrangement in Grey and Black: Portrait of the Painter's Mother) 1871年 | 144.3×162.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館
信仰深いアンナ・マティルダ・ホイッスラーの横顔。本作に描かれるのは、画家の母アンナ・マティルダ・ホイッスラーの全身座像を真横から描いた肖像画で、ホイッスラーの母親に対する深い敬愛や情念が強く示されている。
【アンナ・マティルダ・ホイッスラーの横顔】
灰色や白黒色の調和的な表現。1872年にロンドンのロイヤル・アカデミー展示会で、1873年にパリの画商デュラン=リュエルの画廊で展示された本作の『灰色と黒のアレンジメント
第1番』という名称は画家が本作で示した色彩における調和性をより効果的に強調するために音楽用語を用い名付けたものである。
【灰色や白黒色の調和的な表現】
軽やかに描写される装飾的なカーテンの模様。ホイッスラーは自身のミドルネームをアボットから母の旧姓であるマクニールへと変えるほど母を敬愛しており、本作の静謐で落ち着いた雰囲気や色彩、温和ながら抑制的で瞑想的な独特の表現などからもそれを窺い知れる。
【軽やかに描写される装飾的な模様】 |