Description of a work (作品の解説)
2007/05/09掲載
Work figure (作品図)
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黒と金のノクターン ― 落下する花火


(Nocturne in Black and Gold : The Falling Rocket) 1875年
60.3×46.6cm | 油彩・画布 | デトロイト美術研究所

印象主義時代に活躍した画家ジェームズ=アボット=マクニール・ホイッスラー屈指の傑作『黒と金のノクターン ― 落下する花火』。1877年の夏に開催されたグロヴナー・ギャラリーの初開場記念展に出品された8作品の中の1点で、画家自身によると2日間で完成させたとされる本作は、夜のクレモン公園の中で打ち上げられた花火の落下する火花とその風景を描いた作品で、≪ノクターン(抒情的夜想曲の意)≫と音楽用語が名称に用いられている本作にホイッスラーは、「この作品で私は一切の外的な関心を排除し、芸術的関心のみを示した。それは線と形状、そして色彩の配置によるものであり、調和性に優れた結果をもたらすのであれば、それらから発生する如何なる偶然(的な効果や結果)でも、私は利用するのだ。」との言葉を残している。公開当時、批評家ラスキンが本作を「まるで公衆の面前で絵具の壺の中身を(画面に)投げつけ、ぶちまけただけのようだ。」と厳しく批難・嘲笑したため、ホイッスラーが名誉毀損の訴訟を起こす事態にも発展しているものの、夜景の中で無作為に散ってゆく火花の描写は絵具(の質感)そのものであり、名称を知らなければ大多数の者は、本作に何が描かれているかを理解するのが困難であることは容易に推測できるが、現在となっては、当時、芸術的流行の最先端都市であったパリでも類のないほどの非常に抽象的なアプローチや現実に対する非再現性、調和的で冒険的な展開、大胆な描写表現は、後のアメリカの抽象(絵画)芸術を予感させる驚嘆すべき作品と位置付けられている。


【全体図】
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クレモン公園の中で打ち上げられた花火の落下する火花。グロヴナー・ギャラリーの初開場記念展に出品された8作品の中の1点で、ホイッスラー自身によると2日間で完成させたとされる本作は、夜のクレモン公園の中で打ち上げられた花火の落下する火花とその風景を描いた作品である。



【打ち上げられた花火の落下する火花】
絵具(の質感)そのものである夜景の中で無作為に散ってゆく火花や光の表現。公開当時、批評家ラスキンが本作を「まるで公衆の面前で絵具の壺の中身を(画面に)投げつけ、ぶちまけただけのようだ。」と厳しく批難・嘲笑したため、ホイッスラーが名誉毀損の訴訟を起こす事態にも発展している。



【絵具(の質感)そのものである光の表現】
理解するのが非常に困難な抽象性。本作の、当時、芸術的流行の最先端都市であったパリでも類のないほどの非常に抽象的なアプローチや現実に対する非再現性、調和的で冒険的な展開、大胆な描写表現などは、後のアメリカの抽象(絵画)芸術を予感させる驚嘆すべき作品と位置付けられている。



【理解するのが非常に困難な抽象性】

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