2010/01/02掲載
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藤花図屏風(The Rattan (Calameae)) 1776年156×360cm | 6曲1双・紙本金地着色 | 根津美術館 関連:『藤花図屏風』全体図/左隻拡大図/右隻拡大図
丁寧に描写される藤の花。制作の意図など詳細については不明な点は多いものの、絵師が44歳の時に制作した本作はマメ科フジ属の植物で、つる性落葉木本≪藤≫の幹や蔓、花を6曲1双の屏風に描いた作品である。
【丁寧に描写される藤の花】
自由奔放に身をくねらせる藤の蔓。左隻、右隻共にたらし込みに類する技法を用いて、奔放に曲がりくねる藤の幹や蔓が描写されているが、左隻では左側から右側へと水平に近い形で蔓が伸びているのに対し、右隻では一旦、天へと向かいつつ蔓先は下方へと伸びている。
【奔放に身をくねらせる藤の蔓】
葉に用いられる鮮烈な緑青の色彩。籐の花房は丹念かつ写生的に描写されており、特に咲かせる花弁や葉ひとつひとつの表現には応挙の得意とした≪付立て≫技法が用いられており、その細やかで写実性の高い描写には目を奪われるばかりである。
【鮮烈な緑青の色彩】 |