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エマオの晩餐 (Cena in Emaus) 1525年
230×170cm | Oil on canvas | フィレンツェ,ウフィツィ美術館 |
ガルッツォのカルトゥジオ会修道院の回廊に描いた代表作『キリストの受難』を完成させた後、同会の祭壇画を手がける。それがこの『エマオの晩餐』である。復活したキリストがエルサレム近郊のエマオの町で、2人の弟子の前に姿を現した場面を描く≪エマオの晩餐≫を主題とする本作は、前記したフレスコ画『キリストの受難』に続く作品としても同画家の最も著名な作品のひとつとなった。また本作の最も印象的な部分のひとつである画面上中央部分に描かれている≪神の目(神の目とは万物の父なる存在である主を指し、ここでは復活したイエスが主(神)の子であると同時に、同なる存在へ昇華したことを示す。)≫は、同作品の模写をおこなったエンポリという画家(1551-1640年)によって後捕されたものであると研究されている。イエスが中央でパンを割く部分は同じだが、通常≪エマオの晩餐≫を主題に描く場合では、3人の男が夕食卓についている場面を描くことが多く、パンとぶどう酒はキリストの十字架の死を表しているとされ、パンは信者の為に十字架上で刑に服したイエスのからだを象徴し、イエスの弟子である聖パウロは後に『これはあなたがたのための、わたしのからだです。わたしを覚えて、これを行いなさい』とイエスの言葉を伝えている。
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