2010/01/06掲載
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アンジェリカを救うルッジェーロ(Roger délivrant Angélique) 1819年 147×190cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
海の怪物を退治する騎士ルッジェーロ。本作は、15世紀後半から16世紀前半期(ルネサンス期)に活躍した、同時代のイタリアを代表する詩人ルドヴィーコ・アリオストの傑作叙事詩≪怒れるオルランド(狂えるオルランド)≫の一場面に典拠を得て制作された作品である。
【海の怪物を退治するルッジェーロ】
生贄として怪物へ捧げられるアンジェリカ。本作では海の怪物の生贄として鎖で岸壁に繋がれるキタイの姫君アンジェリカを、彼女に激しい恋心を抱いていた主人公のひとり遊歴騎士ルッジェーロが怪物を退治し、救い出すという場面が描かれている。
【怪物へ捧げられるアンジェリカ】
長槍で突かれもがき苦しむ怪物の姿。本作に示される古代の彫刻のように理想化されたアンジェリカの美しく均整的な姿態や、主対象を重点的に照らす演劇的な光源処理、極めて写実的ながらどこか人工的な造形を感じさせる描写などには、新古典主義の典型的様式に基づきながら、他の追随を許さないアングル独自の個性を感じることができる。
【長槍で突かれもがき苦しむ怪物の姿】 |