2010/08/13掲載
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皇太子のパリ入城(シャルル5世のパリ入城)(L'entrée à Paris du dauphin, (futur Charles V)) 1821年 47×56cm | 油彩・板 | ウォズワース・アテネウム
臣下の忠誠心に応える皇太子時代のシャルル五世。当時の権力者のひとりパストレ伯爵の依頼により1821年に制作され、1824年のサロンへも出品された本作は、ヴァロワ朝第3代の王であり、賢明王とも呼称された教養高き王≪シャルル五世≫が皇太子時代に英国の捕虜として捕らえられるものの1358年にパリへと帰還したという史実に基づいた歴史画作品である。
【臣下の忠誠心に応えるシャルル五世】 皇太子を迎える家臣たち。主題は中世の作家ジャン・フロワサールの≪年代記≫に、構図や図像は15世紀フランスの画家ジャン・フーケが手がけたフランス年代記の挿絵に着想を得ていることが知られている本作では、画面中央やや右側へ白馬に跨る皇太子時代のシャルル五世が配されており、その姿は歴史に伝えられるよう、虚弱気味な痩身体で描かれている。
【皇太子を迎える家臣たち】
掌を内側(下)に向け忠誠を示す仕草。本作には依頼主パストレ伯爵の意向でもあるフランス王家に対する明確な忠誠の証が示されており、アングル特有の高度な写実性と新古典主義の堅牢で安定的な画面構成がその主題的内面をより強固なものとしている。
【掌を内側に向け忠誠を示す仕草】 |