2010/05/18掲載
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ドヴォーセ夫人の肖像(Madame Devauçay) 1808年76×59cm | 油彩・画布 | コンデ美術館(シャンティイー)
口角を上げ真っ直ぐ観る者へと向けられる視線。画面中央へ配されるドヴォーセ夫人の薄く口角を上げ、観る者へと真っ直ぐに向けられる瞳の深遠な輝きは、ほぼ左右対称に分けられた頭髪や、凛とした眉と共にドヴォーセ夫人の知性を感じることができる。
【観る者へと向けられる視線】
右腕の不自然な長さを覆い隠す金色のショール。左腕のみに注目し、右腕や全体と比較すると変異的な右腕の長さに気がつくことができるものの、黄金のショールで左腕を隠し、また左半身を前斜めに向けて描くことで全体のバランスを整えていることがよくわかる。
【右腕を覆い隠す金色のショール】
高度な写実的描写で描かれる扇子。理想美の追求のために構造的な違和をも用い、さらにそれを見事に調和化させる表現手法や写実的描写には、アングルの類稀な画才と絵画的革命性を感じずにはいられない。
【高度な写実的描写で描かれる扇子】 |