Description of a work (作品の解説)
2010/12/01掲載
Work figure (作品図)
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黄金時代

 (L'âge d'or) 1862年
46.3×61.9cm | 油彩・画布 | フォッグ美術館

フランス新古典主義最後の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル最晩年の作品『黄金時代』。本作は古代ギリシアの詩人ヘシオドスの≪労働と日々≫や古代ローマの偉大なる詩人オウィディウスの≪変身物語(転身物語)≫へ、全ての人々が平安と繁栄を享受する人類の歴史上最高の時代として描かれる≪黄金時代≫を主題とした作品である。本作は、元々1842年から1849年にかけてリュイヌ公爵オノレ・ダルベールの依頼により同氏が所有するパリ郊外ダンピエールの館ミネルヴァの間の壁画として構想、制作が着手されるものの、妻マドレーヌの死(1849年)など様々な理由で未完成のまま制作中止となった作品を、1862年に画家自らが小型のヴァリアントとしてほぼ忠実に再現、完成させた作品である。画面中央へは神像が置かれる祭壇を囲むように三美神や四季の象徴たちが音楽に合わせ踊る姿が描かれており、その中心にはフルートを奏でる幼子が配されている。画面右側では画家自身「美しき安逸に包まれる一群」と呼んだ、花冠を被った美しい男女や果物やワインを飲食する男女が黄金時代の喜びを分かち合うかのように描き込まれ、その頭上では天使が無邪気に花びらを散らせている。さらに画面左側では正義を司る女神アストラエア(アストライア)が説く美徳の教えに多くの人々が耳を傾ける光景が描かれている。そして画面中央やや右側奥には全景を見渡せる位置として、黄金時代を統治する農耕を司る時の翁サトゥルヌスの像が配されている(※ダンピエールの館の壁画ではサトゥルヌス像は画面右側は配されていた)。アングル自身、本主題においてはサトゥルヌス神と女神アストラエアの2名を重要視しているという解釈をおこなえるものの、原図(壁画)の依頼主であり熱心な王政復古主義者であったリュイヌ公爵の「黄金時代=正義の時代=王政時代」という政治的理念が反映しているという別解釈も述べられている。


【全体図】
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画面中央で音楽に合わせ踊る三美神や四季の象徴たち。本作は古代ギリシアの詩人ヘシオドスの≪労働と日々≫や古代ローマの偉大なる詩人オウィディウスの≪変身物語(転身物語)≫へ、全ての人々が平安と繁栄を享受する人類の歴史上最高の時代として描かれる≪黄金時代≫を主題とした作品である。



【踊る三美神や四季の象徴たち】
全景を見渡す位置へ配された農耕を司るサトゥルヌスの像。本作は、元々1842年から1849年にかけてリュイヌ公爵オノレ・ダルベールから依頼された、同氏が所有するパリ郊外ダンピエールの館ミネルヴァの間の壁画を、1862年に画家自らが小型のヴァリアントとしてほぼ忠実に再現、完成させた作品である。



【農耕を司るサトゥルヌスの像】
正義の美徳を説く女神アストラエア。アングル自身、本主題においてはサトゥルヌス神と女神アストラエアの2名を重要視しているという解釈をおこなえるものの、原図(壁画)の依頼主であり熱心な王政復古主義者であったリュイヌ公爵の「黄金時代=正義の時代=王政時代」という政治的理念が反映しているという別解釈も述べられている。



【美徳を説く女神アストラエア】

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