Description of a work (作品の解説)
2010/07/04掲載
Work figure (作品図)
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オシアンの夢

 (Le songe d'Ossian) 1813-35年頃
348×275cm | 油彩・画布 | アングル美術館(モントーバン)

19世紀フランス新古典主義の偉大なる巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル作『オシアンの夢』。当時イタリアへ遠征予定であったフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトのローマ駐屯時における宿舎として想定されていたパラッツォ・デル・キリナーレの装飾画(寝室の天井画)として制作された本作は、古代ケルト族が残したとされる叙事詩の著者≪オシアン※≫を主題とした作品で、本主題はロマン主義者たちに多大な影響を与えた主題としても知られている(※1763年に世間へ発表されたこの叙事詩は、スコットランドの詩人ジェイムズ・マクファーソンが古代ケルトの詩集を発見した主張していたものの、その信憑性は当時から研究者や歴史家から疑問が呈されており、現在ではほぼ同人物の空想上の創作として捉えられている)。画面中央下部に配される古代ケルト族の詩人オシアンは簡素な緑色の衣服と紅色の外套を身に着けながら、竪琴へもたれかかるように深い眠りについている。オシアンの頭上では彼が記したとされる叙事詩に登場する古き英雄や女神(女性)たちがおぼろげな霧に包まれながらグリサイユ的に描写されており、その己の運命を謳い儚げに消えゆく英雄たちの姿は、まさに夢想の出来事としての幻想性を感じることができる。英雄的主題を好んだ皇帝ナポレオン・ボナパルトの寝室に相応しい主題を非常に高度な写実的描写を用いながら、ロマン主義者の作品とも見間違えるほどの叙情性を醸し出させる本作は、画家の全作品の中でもある種の特異的に位置付けられているが、その完成度は極めて高く今も観る者を魅了する。


【全体図】
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竪琴にもたれて眠る詩人オシアン。本作は、古代ケルト族が残したとされる叙事詩の著者≪オシアン※≫を主題とした作品であるが、この叙事詩は、スコットランドの詩人ジェイムズ・マクファーソンが古代ケルトの詩集を発見した主張していたものの、その信憑性は当時から研究者や歴史家から疑問が呈されており、現在ではほぼ同人物の空想上の創作として捉えられている



【竪琴にもたれて眠る詩人オシアン】
夢想性を強調するグリサイユ風な描写。本作は当時イタリアへ遠征予定であったフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトのローマ駐屯時における宿舎として想定されていたパラッツォ・デル・キリナーレの装飾画(寝室の天井画)として制作された。



【夢想性を強調するグリサイユ風な描写】
オシアンの叙事詩に登場する英雄たち。英雄的主題を好んだ皇帝ナポレオン・ボナパルトの寝室に相応しい主題を非常に高度な写実的描写を用いながら、ロマン主義者の作品とも見間違えるほどの叙情性を醸し出させる本作は、画家の全作品の中でもある種の特異的に位置付けられているが、その完成度は極めて高く今も観る者を魅了する。



【叙事詩に登場する英雄たち】

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