Description of a work (作品の解説)
2010/07/18掲載
Work figure (作品図)
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パフォスのヴィーナス

 (Vénus à Paphos) 1852年頃
91.5×70.5cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

フランス新古典主義最後の大画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルとその弟子らによる共同制作の典型的な作品のひとつ『パフォスのヴィーナス』。本作は画家の高名な弟子ポール・フランドラン(フランドラン兄弟)が当時の上流社会の社交界の常連であったアントワネット・バレー女史の素描に基づき、もう一人別の高名な弟子アレクサンドル・デゴッフと協作(※デゴッフは背景を担当)して手がけられた、美の女神≪ヴィーナス(ギリシア神話におけるアプロディーテと同一視される)≫を主題とした作品である。元々アントワネット・バレーの肖像画として制作され始めたのか、それとも最初からヴィーナスを意図として制作されたのか、その真意は不明であるものの、アングルが数多く手がけたヴィーナス主題の作品の中で特に図像(イコノグラフ)的典型が示される本作では、画面中央に果物を手にした裸体のヴィーナスが麗しく艶かしい視線を観る者へ向けながら座する姿で描かれている。画面右下には愛の神キューピッド(ギリシア神話におけるエロスと同一視される)であろう幼い子供がヴィーナスの手にする果物に触れており、両者の関係性を象徴させている。また画面左上には海の泡から生まれた美の女神ヴィーナスが降り立った聖地として知られるキプロス島西部の都市パフォスの神殿が描き込まれている。本作の古典主義的な主題表現や様式美も特筆すべき出来栄えであるが、最も注目すべき点はヴィーナスの裸体表現にある。一見して厳格な写実性の逸脱を理解することのできる理想的曲線美が誇張がヴィーナスの肉体のフォルムには、画家が追い続けてきた不自然を超越した美の調和を明確に見出すことができる。


【全体図】
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観る者と視線を交わす麗しいヴィーナスの瞳。本作は画家の高名な弟子ポール・フランドランが描いた、当時の上流社会の社交界の常連であったアントワネット・バレー女史の素描に基づき、もう一人別の高名な弟子アレクサンドル・デゴッフと協作して手がけられた、美の女神≪ヴィーナス(ギリシア神話におけるアプロディーテと同一視される)≫を主題とした作品である。



【麗しいヴィーナスの瞳】
美の女神ヴィーナスと愛の神キューピッドを結び付ける果物。元々アントワネット・バレーの肖像画として制作され始めたのか、それとも最初からヴィーナスを意図として制作されたのか、その真意は不明であるものの、アングルが数多く手がけたヴィーナス主題の作品の中で特に図像(イコノグラフ)的典型が本作には示される。



【ヴィーナスが手にする果物】
弟子アレクサンドル・デゴッフが描いた背景。本作の古典主義的な主題表現や様式美も特筆すべき出来栄えであるが、最も注目すべき点はヴィーナスの裸体表現にある。一見して厳格な写実性の逸脱を理解することのできる理想的曲線美が誇張がヴィーナスの肉体のフォルムには、画家が追い続けてきた不自然を超越した美の調和を明確に見出すことができる。



【弟子デゴッフが描いた背景】

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