Description of a work (作品の解説)
2008/05/21掲載
Work figure (作品図)
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盲目の少女(盲目の娘)

 (The Blind Girl) 1854-56年
82.6×62.2cm | 油彩・画布 | バーミンガム市立美術館

ラファエル前派を代表する画家ジョン・エヴァレット・ミレイの傑作『盲目の少女(盲目の娘)』。1857年にリヴァプール・アカデミーの年間最優秀賞を受賞した本作は、画家の新居の近くに住んでいた少女(又は画家の妻エフィー)をモデルに、盲目の少女たちが雨上がりの牧草地で佇む情景を描いた作品である。画面中央(最近景)では盲目を思わせる少女が大地に腰を下ろし、雨上がりの空気や差し込む陽光の温もりを味わうかのように休んでいる。傍らにはさらに幼い少女が、盲目の少女に凭れ掛かっている。このような盲目の人物を描く場合、教訓的な内容や悲愴感などを観る者が明確に感じられるように表現するのが通例であるものの、本作に描かれる盲目の少女の己が背負う障害に対する態度は非常に穏やかであり、卑屈な雰囲気や戒告な様子は微塵にも感じられない。この二人の少女の屈託の無い子供らしさこそ、本作の最も大きな魅力のひとつであり、観る者を強く惹きつけるのである。また本作の大きな特徴である雨上がりの美しい風景は、近景をミレイが新居を構えたスコットランドのパースシャーの風景に、遠景をイングランド南東部イースト・サセックス州ライ近郊の小村ウィンチェルシーの風景に取材し描かれたことが知られており、この詩情性豊かな風景表現は、画面全体を包み込む明瞭な光の描写や、輝きに満ちた色彩表現、遠景で暗い雨雲の中にかかる二本の虹が大きな要因となっている。なお本作のモデルと推測されるミレイの新居の近くに住んでいた少女は、画家が同時期(1855-56年)に手がけた『枯れ葉(秋の葉、落ち葉)』でもモデルを務めている。


【全体図】
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屈託の無い穏やかな表情を浮かべる盲目の少女。1857年にリヴァプール・アカデミーの年間最優秀賞を受賞した本作は、画家の新居の近くに住んでいた少女(又は画家の妻エフィー)をモデルに、盲目の少女たちが雨上がりの牧草地で佇む情景を描いた作品である。



【穏やかな表情を浮かべる少女】
盲目の少女に凭れかかる子供。画面中央(最近景)では盲目を思わせる少女が大地に腰を下ろし、雨上がりの空気や差し込む陽光の温もりを味わうかのように休んでおり、傍らにはさらに幼い少女が、盲目の少女に凭れ掛かっている。



【盲目の少女に凭れかかる子供】
詩情性豊かな美しい風景描写。この本作の大きな特徴である詩情性豊かな風景表現は、画面全体を包み込む明瞭な光の描写や、輝きに満ちた色彩表現、遠景で暗い雨雲の中にかかる二本の虹が大きな要因となっている。



【詩情性豊かな美しい風景描写】

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