2004/09/08掲載
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モルトフォンテーヌの想い出(Souvenir de Mortefontaine) 1864年 65×89cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
花や宿木を摘む少女たち。1864年のサロン出品作である本作は、画家がこの頃数多く制作した、名称に『想い出(思い出)』を付ける回顧的作品の中のひとつで、この頃に描かれた作品の登場人物は神話のニンフや民族衣装を着た女性が多い。
【大地に咲く花や宿木を摘む少女たち】
悠々と枝を広げる一本の巨木。本作は内面を抒情詩的に映したかのような画家の風景画の中でも特に抒情的な雰囲気が強く、サロン出展時には大好評を博し、皇帝ナポレオン3世の命により国家が買い上げた作品としても知られている。
【悠々と枝を広げる一本の巨木】
抑制的な色彩と鈍く輝く光の表現。コローが画業の後年に獲得した抑えられた色調による独特の色彩表現や、柔和な幻想性と即興性が混在する大気の描写、銀灰色を帯びた鈍色に輝く独自の光の表現は本作においてもその効果は如何なく発揮されており、観る者にある種の望郷心を抱かせる。
【抑制的な色彩と鈍く輝く光の表現】 |