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アレクサンドロス大王の戦い(Die Alexanderschlacht)
1529年
158.4×120.3cm | Oil on panel | Alte Pinakothek, Munich |
ドナウ派の画家アルトドルファーの手がけた作品中、最も有名であろう大作『アレクサンドロス大王の戦い』。現在アルテ・ピナコテークに所蔵される本作は、当時のバイエルン大公ヴィルヘルム4世が王宮を装飾するために8人の画家へ、計16点の歴史画を依頼し制作されたもののひとつで、アルトドルファーは歴史的背景から紀元前333年に起こったイッソス河畔でペルシア王ダレイオス3世を破った戦いを題材にし描いた。画家は父ゆずりの写本彩色画の技法を用い極めて細密な描写で、この壮大な歴史の一場面を描いており、下部に配される集団の兵士と、上部に広がりをみせる雄大な背景の描写が本作の見所のひとつである。またシュルレアリスム的な印象すら与えている画面最上部に燦然と配されたアルトドルファー自身の署名である。アレクサンドロス大王はフィリッポス二世の子として生を受けたマケドニアの国王で、遠征軍を率いてペルシャを滅ぼし、インドのパンジャブ地方まで進出。ギリシャとオリエントを含む空前の大帝国を建設し、東西文化の融合を図りヘレニズムの下地を作った。
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