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エジプトへの逃避途上の休息 1504年
(Die Ruhe auf der Flucht nach Agypten)
70.7×53cm | Oil on panel | Staatliche Museen, Berlin |
クラナハの生涯の画業で、特に重要性の高い作品を多数制作された1501年から1504年まで滞在したウィーン時代の集大成と呼べる作品『エジプトへの逃避途上の休息』。後にモノグラムも制作されている本作の主題は、ベツレヘムに生まれたキリストを亡き者にするため、ベツレヘムの全ての新生児の殺害を企て、ユダヤの王ヘロデが同地へ放った兵士から逃れるために、聖ヨセフと聖母マリア、幼児キリストがエジプトへ逃避した場面を描く≪エジプトへの逃避≫。クラナハの大きな特徴ともなった背景の描写など、本作の見所は多い。エジプトへの逃避という状況の中に心休まる一場面を、ウィーンで形成された画家の独特な画風で表現されている本作で、聖母マリアは幼子イエスを膝の上で抱き、(本作を)観る者と視線を交わしている。また新約聖書中、聖ヨセフは神の子キリストの母マリアの夫で大工として伝えられているが、その家系の始祖は旧約聖書の中でも特に重要視されるダヴィデ王だとも伝えられている。
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