Description of a work (作品の解説)
2006/01/17掲載
Work figure (作品図)
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聖ベルナルドゥスの幻視

 (Visione di san Bernardo)
1486年 | 210×195cm | テンペラ・板 | バディア聖堂

フィリッピーノ・リッピ独自の様式が見事に示される最高傑作『聖母子と天使』。フィレンツェ郊外カンポラの聖堂の為に制作され現在はバディア聖堂に所蔵される本作の主題は、ブルゴーニュの貴族出身の聖人で、聖母を賛美する書を執筆中に2度、聖母が現れ自らの母乳を与えたとされる奇蹟≪聖ベルナルドゥスの幻視≫を描いたもので、トスカーナ絵画の伝統的な細密線描や当時から初期ネーデルランド絵画と競われたほどの色彩と生気に満ちた人物や場面表現は圧巻の一言に尽きる。しかし本作には輝くような色彩や表情の中にも、どこか陰鬱で不安定を感じさせるフィリッピーノ・リッピ独自の世界観の兆候も示されており、それ故に、本作が単なる宗教画以上の、フィレンツェ派絵画における人間味と深い精神性を携えた唯一無二な作品として広く認められているのである。ブルゴーニュの貴族出身の聖人ベルナルドゥスは母と死別した23歳でシトー会に入信し修道に専念した後、クレルヴォー(明朗の谷)と名を改めた渓谷に修道院を建て、宗教や神学において多大な影響を与えたほか第2回十字軍の結成に協力し、実現させた当事者とされる。このフィリッピーノ・リッピ独自の世界観の兆候も示されていることは、本作において最も魅力的な部分でもある。また画面右下には寄進者であるフランチェスコ・デル・プリエーゼが描かれている。


【全体図】
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聖母を幻視する聖ベルナルドゥス。ブルゴーニュの貴族出身の聖人ベルナルドゥスは母と死別した23歳でシトー会に入信し修道に専念した後、クレルヴォー(明朗の谷)と名を改めた渓谷に修道院を建て、宗教や神学において多大な影響を与えたほか第2回十字軍の結成に協力し、実現させた当事者とされる。



【聖母を幻視する聖ベルナルドゥス】
聖ベルナルドゥスの前に現れた聖母マリア。本作の主題≪聖ベルナルドゥスの幻視≫は聖母を賛美する書を執筆中に2度、聖母が現れ自らの母乳を与えたとされる奇蹟を指し、トスカーナ絵画の伝統的な細密線描や当時から初期ネーデルランド絵画と競われたほどの色彩と生気に満ちた人物や場面表現は圧巻の一言に尽きる。



【聖ベルナルドゥスの前に現れた聖母】
どこか陰鬱で不安定を感じさせる天使の表情。このフィリッピーノ・リッピ独自の世界観の兆候も示されていることは、本作において最も魅力的な部分でもある。また画面右下には寄進者であるフランチェスコ・デル・プリエーゼが描かれている。



【陰鬱で不安定を感じさせる天使の表情】

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