2006/01/17掲載
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聖ベルナルドゥスの幻視(Visione di san Bernardo)1486年 | 210×195cm | テンペラ・板 | バディア聖堂
聖母を幻視する聖ベルナルドゥス。ブルゴーニュの貴族出身の聖人ベルナルドゥスは母と死別した23歳でシトー会に入信し修道に専念した後、クレルヴォー(明朗の谷)と名を改めた渓谷に修道院を建て、宗教や神学において多大な影響を与えたほか第2回十字軍の結成に協力し、実現させた当事者とされる。
【聖母を幻視する聖ベルナルドゥス】
聖ベルナルドゥスの前に現れた聖母マリア。本作の主題≪聖ベルナルドゥスの幻視≫は聖母を賛美する書を執筆中に2度、聖母が現れ自らの母乳を与えたとされる奇蹟を指し、トスカーナ絵画の伝統的な細密線描や当時から初期ネーデルランド絵画と競われたほどの色彩と生気に満ちた人物や場面表現は圧巻の一言に尽きる。
【聖ベルナルドゥスの前に現れた聖母】
どこか陰鬱で不安定を感じさせる天使の表情。このフィリッピーノ・リッピ独自の世界観の兆候も示されていることは、本作において最も魅力的な部分でもある。また画面右下には寄進者であるフランチェスコ・デル・プリエーゼが描かれている。
【陰鬱で不安定を感じさせる天使の表情】 |