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ダヴィデ像(ダビデ像)
(David) 1504年
434cm | 大理石 | アカデミア美術館
ルネサンス芸術を象徴する作品のひとつであり、人物彫刻の最高傑作である不朽の名作『ダヴィデ』。ダヴィデとは紀元前10世紀頃の第2代イスラエル王国の国王で、全イスラエルを統一し、エルサレムに都を定め、近隣諸国の征服併合をおこなうほか、すべての王の模範とされ、メシア(救世主)もこの系譜を継ぐものとされた人物。本作は、数年間の政治的混乱の後、フィレンツェは共和国宣言が為された1508年8月4日の10日後、8月14日に毛織物職人組合(アルテ・デッラ・ラーナ)からの依頼により制作された。それまでのダヴィデの彫刻は巨人の頭を足元に置き、手には剣を持ったいわゆる勝利者の姿で制作されるのが伝統であったが、ミケランジェロはそれと決別し、まさに決戦に臨む前の緊張感に溢れた一瞬の姿を克明に捉え彫り上げた。ダヴィデ像では、人体の重心を片方(ここでは右足)にのせ、もう片方(左足)を自由に遊ばせることで身体全体の流れをS字形にしてバランスを取る、いわゆる≪コントラポスト≫の構図を用いたことで、人間としての自然の動きに富んだ表現した。戦いを目前に自軍が怯むのを感じ、臆することなく敵陣ゴリアテを挑むような視線で見つめるダヴィデの緊張感に溢れる視線が、この彫刻を一層表現豊かな作品にしている。またダヴィデ像の瞳部分は、他に例の無いハート型で彫られている。