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博士たちと議論するキリスト (Disputa di Gesu coi dottori)
1555-1556年
236×430cm | Oil on canvas | Museo del Prado, Madrid |
ティツィアーノなどヴェネツィア派の画家の影響を受けながら独自の作風を確立したことがよく表れている作品『博士たちと議論するキリスト』。新約聖書のルカ福音書に記される≪博士たちと議論するキリスト≫を主題に描いた本作は、円熟を帯びる前の主張の青い色使いや構図の中にも、画家の明るい未来を見出すことができる。新約聖書のルカ福音書では、ユダヤ教の三大祝祭のひとつ、過越し祭りの日に両親とエルサレムに訪れた際、キリストがひとりで神殿に赴き、老いた老学者と難解な神学を議論したとされている。また過越し祭りとは、ユダヤ人の出エジプトを記念して春に行われ、贖罪のために小羊の犠牲をささげ、種なしパンを食べて祖先の艱難を偲ぶ祭りである。
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