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ヴェネツィアへ贈り物を捧げるユノ
(Giunone versa doni su Venezia) 1553-1554年
365×147cm | 油彩・画布 | パラツィオ・ドゥカーレ |
16世紀ヴェネツィア派の大画家ヴェロネーゼ初期を代表する傑作『ヴェネツィアへ贈り物を捧げるユノ』。元々16世紀中頃にポンキーノへ委嘱された仕事で、協力者としてゼトッティと共に加わったヴェネツィアのパラツィオ・ドゥカーレ≪十人委員会の間≫の装飾画のヴェロネーゼが手がけた三点のうちのひとつである本作は、当時強大な都市国家であったヴェネツィアを称え、その絶大な力を誇示する内容として、全能の神であるユピテルの正妻で最高位の女神でもある≪ユノ≫が、ヴェネツィア(本作ではヴェネツィアが擬人化され描かれている)へ富の権力の象徴である黄金と王冠を、勝利と栄光の象徴として月桂樹の冠を天上より授ける場面が描かれている。画面全体を支配するヴェネツィア派独特の明瞭な色彩による光の表現と、短縮法を用いた複雑な人物のポーズを見事に融合させ、本作の主題≪ヴェネツィアの栄光≫を、新鮮で押し迫るような迫力で表現した。またヴェロネーゼは生涯にわたりパラツィオ・ドゥカーレの装飾画を手がけているが、本作はその最初の作品としても知られている。なおヴェロネーゼは≪十人委員会の間≫へ本作のほか、『青年と老人』と、ナポレオンによってパリへと運ばれた現ルーヴル美術館所蔵の『悪徳を雷で打つユピテル』を同時期に描いている。
関連:ルーヴル美術館所蔵『悪徳を雷で打つユピテル』
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